悪のニュース記事

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2006年09月08日(金) 02時04分

9月8日付・編集手帳読売新聞

 お祈りの言葉を小さな女の子が唱える。「われらに日々のパンを与えたまえ」。そのあとが聞き取れない。いま何て言ったの? 母親がたずねた◆お母さん、怒らないでね。あたし、お祈りしたの。「パンの上にたくさんバタをつけてくださいましって」。アンデルセン「絵のない絵本」(岩波文庫)の一節である◆昨年、本紙に「八月十五日」と題する小学2年生の詩が載った。「きょうはだい二じせかい大せんのおわった日と聞いて かみさまにこう言いました/『かみさま せんそうでしんでしまった人たちをしあわせにくらさせて下さい』」◆神様がついほほえんだり、涙ぐんだり、願い事にもいろいろある。耐震強度の偽装事件で詐欺などの罪に問われた「木村建設」の元社長のように、やましい行為が露見しないことを祈る人もいるから、神様の仕事も楽ではない◆「ばれたら逃れる道がありません。木村建設に飛び火しないようにお願いします」。昨日の初公判で検察側が読み上げた冒頭陳述によれば、「祈願書」にそうしたため、神社にファクスで送っていたという◆法廷では、「大地震が来て建物が壊れても構わない。金を稼ぐため、人命のことは考えないようにした」という元建築士の供述も明らかにされている。悲しげに手で耳をふさいだ神様の顔が目に浮かぶ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060907ig15.htm