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2006年09月07日(木) 00時00分

フジテレビが動画投稿サイトを立ち上げ——「YouTube」まねるも違法映像は排除読売新聞


投稿作品はアクセス数の多い順にランキングされる。玉石混交の作品の中から輝く才能が見つかるか。
http://www.watchme.tv/

 フジテレビの社内ベンチャー「フジテレビラボLLC」は、アマチュアビデオ作品をウェブ上に自由投稿できる「ワッチミー!TV」の試験運用を7月から開始した。モデルにしたのは世界的に人気を集める米国の投稿サイト「YouTube」。ただし、同サイトで頻発するテレビ番組やアニメの著作権を無視した投稿を防ぐために、厳重なチェック態勢を敷く。

広告の取れるサイト目指す

 「YouTube」は05年に米国のベンチャー企業が始めた。ここには毎日6万本以上のビデオ作品が寄せられる。しかし、「YouTube」は確たるビジネスモデルをまだ示していない。今のところ、ベンチャーキャピタルからの出資金で運営されている。利用者に対し無料サービスを提供する手前、広告収入に頼らざるを得ないが、現在、広告はほとんど掲載していない。そして今後とも大口の広告主がつかないのではないか、と米国の業界アナリストたちは心配している。

 それは「YouTube」が社会との軋轢を引き起こしているためで、大手企業がスポンサーになりにくいからだ。ここに掲載される映像作品の中には、著作権を侵害したり、公序良俗に反する作品も少なくない。このため、時に世間の批判を浴び、さらには無断で番組の一部を掲載された米テレビ局から削除勧告を受けるなどしている。

 これに対し「ワッチミー!TV」では、「(アマチュアのクリエーターに対し)著作権の尊重を始め、メディアリテラシーの向上を働きかける。そのための模範をテレビ局自らが示す」(フジテレビラボLLC社長の時澤正さん)という。

 このため、同社スタッフが投稿作品の著作権チェックを厳密に行うほか、映像製作のセミプロに声をかけて模範作品を提示するなど、できる限り努力するという。

 今のところ常時3、4人のスタッフが24時間体制で投稿作品をチェックしている。7月中旬の試験運用開始から5日間で、約500本の映像作品が寄せられ、そのうち約300本が掲載された。このように投稿作品を厳選しているので、「YouTube」のように「広告が取れない」という心配はないという。

 「『YouTube』との違いは、社会的責任を持ったテレビ局が投稿サイトを運営すること。その点はスポンサーから評価してもらえると思います」(時澤さん)。しかし今は投稿作品が比較的少ないからいいが、今後急増したらチェックしきれるのか。増加のペースに合わせスタッフを増やしたり、自動化ソフトを導入するというが、いずれは「YouTube」のような問題が発生する懸念はぬぐいきれない。

 また仮に広告が集まり始めたとしても、それでビジネスが成立するかどうかは不明だ。フジテレビラボでは、5年後に280万人のユーザーを集め、それによって広告媒体としての魅力を高めて、約11億円の売上げを目指す、という。

 しかしこの数値目標に、具体的根拠は乏しい。「ページビューやユーザー数など、いろいろなモデルで計算してみましたが、実は(試算結果は)千差万別」(時澤さん)というのが本音だ。

アマチュア作品の発掘も

 先を行く米国でも確たるビジネスモデルが示されていない以上、それも当然だ。とりあえず日本でも始めてみて、採算計画の詳細は走りながら決めるということだろう。それでも成功する確信はあるという。

 「私は以前、プロデューサーとしてテレビ番組を制作していましたが、(一般から)ちょっと(アイデアなどを)募集すると隠れた才能が次々と出てきた。だから無名の人の中に無限の才能があることは、皮膚感覚として実感しているのです」(時澤さん)

 「ワッチミー!TV」に寄せられた作品の中に光るものがあれば、テレビ番組のプロデューサーに取り次ぐことは精いっぱいやるという。隠れた才能発掘の面からも、今後の展開を期待したい。(小林雅一・ジャーナリスト/2006年8月24日発売「YOMIURI PC」10月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20060906nt03.htm