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2006年09月05日(火) 01時35分

9月5日付・読売社説(1)読売新聞

 [堀江被告裁判]「検察との全面対決で何を語るか」

 “時代の寵児(ちょうじ)”と言われたライブドア前社長・堀江貴文被告は、一代で築き上げた「ライブドア商法」について、被告席から何を語るのだろう。

 証券取引法違反の罪に問われた堀江被告は、初公判の罪状認否で「犯罪を犯したことも、指示したこともない」と全面否認し、無罪を主張した。

 今年1月に逮捕されて以来、一貫して容疑を否認してきた。供述調書への署名や押印も、ほとんど拒否してきた。予想はされていたが、公判でも検察側との対決姿勢が鮮明になった。

 検察側は、有価証券報告書の虚偽記載や、関連会社の株価をつり上げるための偽計・風説の流布などは、すべて堀江被告が主導して行ったと、事件の構図を描いている。

 弁護側は、検察官の「強引なストーリー」で作り上げられた事件であり、堀江被告には「不正の認識」も、「部下への指示」もなかったと“潔白”を主張し、反論している。

 検察側は、分離公判中の元取締役・宮内亮治被告らかつての側近の供述をもとに、堀江被告の違反行為への積極関与、直接指示を立証していく方針だ。

 その側近たちは、自身の公判で「堀江被告が『(粉飾を)やり切るしかない』と言った」などと述べている。検察は公判維持に自信を深めている。

 孤立無援の状況だが、堀江被告は「自分の考えを裁判で話したい」と意欲を燃やしているという。

 かつては「違法でなければ何でもできる」と豪語していた。そうした拝金主義、市場至上主義に社会の逆風が吹き、「勝ち組」の象徴から被告の座へと転落した。この公判は、堀江被告の独自の金銭哲学が裁かれる場でもあるだろう。

 裁判には、大型経済事件としては初めて、昨年秋に導入された「公判前整理手続き」が適用された。初公判の前に争点や証拠を整理し、集中審理によって裁判の迅速化を図る。

 争点が絞られ、分かりやすくなった。例えば粉飾に使われたとされる投資事業組合を、ライブドアのダミーと見るか、実体があり法的にも別組織と見るかは、犯罪になるかどうかの分かれ目だ。

 世間の注目を集める裁判では、公判前整理手続きを活用すべきだろう。

 今後、週1〜3回の集中審理が続く。計20回の証人尋問では、かつての側近たちと堀江被告の直接対決も予定されている。続く5回の被告人質問にかけて、公判は最大のヤマ場を迎える。

 迅速裁判のモデルケースとしても、堀江裁判の展開から目が離せない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060904ig90.htm