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2006年09月05日(火) 00時00分

携帯各社「圏外」解消競う 基地局を増強朝日新聞

NTTドコモの基地局整備の状況

 携帯電話のつながりやすさを示す「人口カバー率」でほぼ100%を達成しているはずの携帯電話各社が、アンテナ基地局の増設に躍起だ。カバー率の定義は市町村の役場周辺を基準にしており、「100%」でも実際には通じにくい地域が少なくない。これを放置すれば、10月の「番号持ち運び制」開始後に利用者から見放されかねない、と各社が恐れているからだ。とくに「通話しにくい」と苦情の多い、ビルの中や地下街、山間部などに重点的な投資をしている。

 NTTドコモは今年度、第3世代携帯電話「FOMA」の基地局整備に約6400億円を投じる。第2世代「mova」基地局網のほぼ2倍の4万4000局に増強する計画だ。9月末までに集中整備して、番号持ち運び制に臨む。

 ボーダフォン日本法人を買収したソフトバンクの孫正義社長も、つながりやすさの向上を「公約」に掲げる。約2万3000局しかない第3世代携帯基地局を、今年度中に4千数百億円をかけてFOMAを超えるネットワークを実現するという。

 KDDI(au)も今年度の携帯電話関連の設備投資額に前年度より2割増の3330億円をかける。「整備計画を早めて番号持ち運び制までに通話品質の向上を急ぐ」という。

■カバー率100%?

 携帯電話各社はこれまでサービス提供地域での人口カバー率の高さを売り物にしてきた。FOMAはサービス開始から2年半後の04年3月に99%を突破。他の2社も数年前から99%を超えている。なのに基地局増強を急ぐのは、カバー率と利用者の実感に大きな隔たりがあるからだ。

 人口カバー率は市町村の役場でつながれば、全住民を「カバーした」とみなしている。つまり100%は全市町村役場で通じることを意味するだけだ。携帯電話会社側も「利用者の実感にそぐわず、誤解を招きやすい。最近は数字を強調していないが、代わりの指標がない」と言う。

 各社が現在、基地局整備で重視している地域は、レジャーで訪れることの多い郊外や観光地、大規模ビル内やビルの谷間、地下街などだ。いずれも通話の「圏外」になりやすいと、利用者から不満が寄せられている場所だ。通話状態を「アンテナ表示2本以上」にするのが目標だ。

■不満7000件殺到

 ドコモは「iモード」などを通じて電波状況に対する利用者の声を集め、個別に対応状況を説明する「聞かせてFOMA」も始めた。「ネットワークの穴をきめ細かく埋めていくには、生の声が欠かせない」からだ。新聞紙上で大々的に広告した6月下旬には、1週間で約7000件の「不満」が殺到した。

 都心部では、電柱や電話ボックスに設けられたPHS基地局をFOMA基地局に転換している。今秋までに無人駅を含めたJR全駅、高速道路のサービスエリアや道の駅などが通話圏内になるようにする。

 ボーダフォンやKDDIも利用者の実感を重視し、メールを利用した電波状況アンケートをもとに基地局を置く場所を決めている。

     ◇

 〈キーワード:番号持ち運び制(番号ポータビリティー制)〉 同じ電話番号のまま携帯電話会社を乗り換えられる制度。利用者の利便性を高め、各社間競争を活発にさせるのが目的。10月24日に始まり、各社とも手数料は、転入が無料、転出は2100円。乗り換えるとメールアドレスは変わり、前の契約での基本料金割引などは引き継げない。

http://www.asahi.com/digital/mobile/TKY200609040366.html