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2006年09月05日(火) 16時34分

「公取調書、株主に見せよ」 株主代表訴訟で東京地裁朝日新聞

 海洋土木大手「五洋建設」(東京都)が長崎県発注工事の談合で公正取引委員会に課徴金を命じられたことを巡る株主代表訴訟で、東京地裁(市村陽典裁判長)は、同社員から聴取した供述調書を開示するよう公取委に命じる決定を出した。原告株主側の代理人、阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)によると、こうした文書提出命令は株主代表訴訟では初めて。「従業員が談合しただけ。経営陣は知らなかった」などと主張しがちな役員たちの責任追及に追い風になりそうだ。命令は1日付。

 訴訟は、同社の株主が取締役らを相手に「従業員の行為を監視し、内部統制システムを構築する義務を負っていたのに怠った」として、約1億6000万円の課徴金相当額の損害賠償金を同社に支払うよう求めている。原告側は、談合の実態や関与者を明らかにし、同社のコンプライアンス体制の欠陥を立証するための文書提出を求めていた。

 市村裁判長は決定で、同社の営業所副所長が県発注の港湾・漁港工事の入札談合について供述した調書や、別の営業所の所長が受注調整によって落札した状況などについて供述した調書などについて、原告側の立証のために証拠調べをする必要性を認めた。

 公取委側は、「調書を目的外の手続きで開示すれば、供述者などから今後協力を得られなくなる」と主張していたが、市村裁判長は「供述者は、話した内容が決してほかに開示されることはないとの信頼を前提に供述しているとは解されない」と判断。「現段階で調書を開示しても、具体的に公取委の審査業務に著しい支障を生じるおそれがあるとは認められない」と結論づけた。

 公取委は02年、五洋建設などに対し独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告。公取委は03年、同社に課徴金の納付を命じ、同社は納付した。

 談合を追及する住民訴訟でも、最高裁が03年、原告の住民が公取委で審判中の談合事件の記録を閲覧・謄写できる権利を初めて認めている。

http://www.asahi.com/national/update/0905/TKY200609050263.html