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2006年09月04日(月) 08時24分

灰色金利、過払いは「任意」を明記 貸金業法改正案朝日新聞

 貸金業の規制強化に向けて、金融庁が自民党金融調査会に提出した貸金業規制法などの改正案の全容が明らかになった。利息制限法の上限金利を超えるグレーゾーン(灰色)金利については、撤廃までの3年間、超過分の支払いは義務ではないことを契約書に明記させる。借り手にとっては任意の支払いとみなされ、あとで返還請求が難しくなる懸念がある。このほか少額・短期の融資に特例で高金利を認めるなど、業者側への配慮が目立つ。一方、借り手1人あたりへの貸付総額は「年収の3分の1」という新たな上限を導入する。

貸金業規制法などの改正案の骨子

貸金業規制法の改正の流れ

 自民党金融調査会は5日の貸金業小委員会で金融庁案の検討を始め、早ければ今秋の臨時国会での法改正を目指す。施行は改正から1年ほど後になる見通し。

 金融庁案によると、施行から3年後に、出資法の上限金利を29.2%から20%に引き下げ、上限金利を利息制限法の上限(元本に応じて年15〜20%)に一本化する。

 施行後3年間は灰色金利が残るが、利息制限法の上限を超える金利は支払い義務がないことを、融資の契約書に明記するよう法律で義務づける。

 現在、灰色金利は客が任意で支払い、契約書面が整っている場合に例外的に有効とみなされる。実際は客の大半がこうした事情を知らず、後から利息超過分の返還を求める訴訟が相次いでいる。返還費用は消費者金融大手4社だけでも年間1500億円に上る。

 金融庁は「契約時に決めた金利を、後から返還請求するのは見過ごせない異常事態」とする。

 だが、契約時は業者が借り手より優位にあり、客が「任意の支払い」を断るのは難しい。多重債務問題に詳しい青山定聖弁護士は「一見、前進のように見えるが、過払い利息の返還を求められなくなる危険性が非常に高まる」と指摘する。

 上限金利引き下げ後も少額・短期に限って高金利を認める特例については、個人向けが「元本50万円まで、期間1年以内」と「30万円、半年以内」の両案あり、2〜3社からの借り入れを認める。ただし、他に通常金利の借入残高がある客には適用しない。

 事業者向け特例は「500万円、3カ月以内」で、他に通常借り入れがあっても適用できる。手形決済など緊急の資金繰りに対応するためだが、現在も事業者向け名目で会社員や主婦に貸し付ける悪質な業者がいるため、悪用が懸念される。

 金融庁は、融資の審査を厳格にすることや、借り手の返済能力を超える融資を禁止することなどで、規制逃れを防ぐ考えだ。

 業者には融資に当たって、信用情報機関を通じて客の借り入れや返済状況を確認するよう義務づける。借入残高が1社あたり50万円、他社も含めると100万〜150万円を超える客には、給与明細書などの確認を求める。さらに、信用情報機関の情報で借入残高の合計が年収の3分の1を超える場合は、融資を原則禁止する。

 このほか、信用情報機関のデータが営業行為などに悪用されないよう、情報機関の役職員や貸金業者が融資審査以外の目的でデータを使った場合は罰則を科す。

 貸金業者に義務づける純資産の最低額については、現状の300万〜500万円から5000万円まで段階的に引き上げることを検討する。悪質業者の参入を難しくするのが狙い。現在、1万4000の登録業者のうち、純資産額5000万円以上は4000弱にとどまる。

http://www.asahi.com/business/update/0904/041.html