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2006年09月02日(土) 22時55分

<おサイフケータイ>広がる利用 安全対策が進化のカギに毎日新聞

 電子マネーやクレジットで買い物などの支払いができる機能が付いた携帯電話「おサイフケータイ」の利用が広がっている。現金やクレジットカードを持っていなくても、携帯電話をコンビニなどのレジに設置されている読み取り端末にかざすだけで買い物ができる便利さが受けているためだ。今年1月からはJRの乗車券機能も付いたおサイフケータイが登場、日常生活にどんどん浸透する勢いだ。【工藤昭久】
 ◇使い方は?
 おサイフケータイは、事前入金した額を電子マネーとして利用する「前払い方式」と、クレジットカードと同じように「後払い方式」で決済するタイプに大別される。前者はソニー系のビットワレットが提供している「エディ」とJR東日本の「モバイルスイカ」、後者にはJCBの「クイックペイ」、NTTドコモの「アイディ」、UFJニコスの「スマートプラス」の3種類がある。
 コンビニやスーパーのレジに置かれた読み取り端末に、おサイフケータイ機能がついた携帯電話をかざすと決済データがやり取りされる仕組み。利用するには、インターネットなどを通じて携帯電話に各サービスの決済ソフトをダウンロードし、名前などの情報を登録しなければならない。
 電子マネーの場合は事前に入金する必要があり、コンビニのレジなどで店員に現金を渡しおサイフケータイに入金してもらう。スイカはJR東の券売機でも入金でき、その金額分は対応店舗ならどこでも買い物できる。クレジットカード契約をしておけば、エディもスイカも携帯電話の通信で入金することもできる。
 一方、携帯クレジットは、クレジットカード契約が必要。すでに持っているカードがおサイフケータイに対応していれば新たな契約はいらない。事前入金は不要で、後払いで決済する。
 東京都中央区の高層マンションの一角にあるスーパー「大丸ピーコック」で、記者も実際におサイフケータイを使ってみた。
 このスーパーは電子マネーのエディに対応している。まず入り口付近に設置された現金入金機に携帯電話を置き、自動販売機のように1000円札を入れて入金(チャージ)。ジュースとパン、菓子を買い物カゴに入れて、レジで「支払いはエディで」と店員に申告。「567円」とレジに表示された金額を見て、携帯電話を読み取り端末の「Edy(エディ)」と記された部分にかざすと、「シャリーン」と音が鳴って瞬時に支払いが済んだ。同店の小林伸行マネジャーは「顧客の3割近くはエディを使う。レジの待ち時間の短縮にもつながる」とメリットを指摘する。
 ◇どこで利用できるの?
 おサイフケータイを利用できる場所も、コンビニやスーパーから家電量販店まで急速に広がってきた。コンビニ業界ではサービス競争の一環となっており、「am/pm」と「サークルKサンクス」はエディを全店で使えるようにした。ローソンとファミリーマートは来春までにNTTドコモと三井住友ビザカードが提供するアイディを全店で利用できるようにする。セブン—イレブンも来春以降、クイックペイやグループが独自に発行する電子マネーに対応できるようにする。来年には大半のコンビニで、おサイフケータイで買い物ができるようになりそうだ。
 ドコモやKDDIなど携帯電話各社も「顧客囲い込みの有力なサービス」と対応機種を増やしている。ソフトバンク傘下のボーダフォンも合わせた大手3社で現在約40機種のおサイフケータイが発売され、普及台数は2000万台規模。「07年度末には携帯電話の半分がおサイフケータイになる」との予測もある。
 おサイフケータイの広がりに目を付けたJR東は今年1月から、携帯電話を改札機にかざすだけで電車の乗り降りができる「モバイルスイカ」サービスを開始。将来は新幹線の乗車券も携帯で予約・購入できるようになりそうだ。来年3月には関東の私鉄・バスが独自発行するIC乗車券とスイカの相互利用が可能になる予定で、スイカ搭載のおサイフケータイで首都圏の公共交通機関をほとんど利用できるようになる。
 量販店もおサイフケータイに熱い視線を送っている。ドラッグストア最大手、マツモトキヨシはエディの支払いでポイントが加算される「マツキヨポイントアプリ」を昨年から開始。おサイフケータイをもつ会員向けにセールの案内をメールで送っている。同社によると、おサイフケータイの便利さで買い物もつい増えるのか、エディ利用者の客単価は現金で買い物をする客より1〜3割高いという。
 また、JR東はビックカメラと提携し、買い物でたまったポイントをスイカの電子マネーに交換できるサービスを始めた。こうしたポイントサービスの拡大も、おサイフケータイの普及に追い風となっている。
 ◇気になる安全性は?
 便利さの半面、気になるのが安全性。前払い方式のエディなどの場合、おサイフケータイの紛失は実際に現金が入った財布を落とした時と同じ。見つけた人が届けてくれない限り、事前入金している分は戻ってこない。一方、携帯クレジットを紛失した場合は、携帯電話会社やクレジット会社に連絡すれば利用を停止してもらえる。
 おサイフケータイの一段の普及には安全対策が不可欠で、ドコモは今年6月に発売した新端末8機種のうち4機種に生体認証機能を搭載。指紋、声などをあらかじめ登録し、利用する際に本人と認証できないと通話やおサイフケータイでの決済ができないようにした。ドコモ幹部は「おサイフケータイには生体認証を標準搭載することになるだろう」と話す。
 「安全性が高まれば、おサイフケータイが将来的にはクレジットカードや銀行のキャッシュカードなどの機能をすべて吸収してしまうことも考えられる」との見方もあり、安全対策がおサイフケータイの進化のカギを握りそうだ。
(毎日新聞) - 9月2日22時55分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060902-00000107-mai-soci