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2006年08月30日(水) 01時25分

8月30日付・読売社説(2)読売新聞

 [製品安全対策]「パロマの教訓を生かさなければ」

 後手に回ってしまったが、ここは、しっかりした安全・安心の仕組みが必要だ。

 経済産業省が、ガス器具や電気製品による事故の被害拡大を防ぐための、31項目に上る安全対策を発表した。過去に事故が起きている製品として12品目を挙げ、使用者にも注意を促した。

 パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器で死亡事故が相次いだことから、省内に製品安全対策の総点検委員会を設置し、検討を進めていた。

 二階経産相は「大いに反省すべきことと思っている」と行政責任を認めた。経産省はパロマ製品の事故情報を把握していながら、有効な再発防止策を何もとらなかった。遅すぎた反省である。

 経産省が挙げた12品目の中に、ガス風呂釜がある。1985年以降、一酸化炭素中毒で89人が死亡していた。ガス器具でも、排気筒の設備不良や腐食が原因で38人が死亡していた。

 いずれも製品自体の欠陥は確認されていないが、使用者には、このような被害実態は知らされてこなかった。

 家庭では、さまざまな製品が使われている。次々と新製品も登場してくる。生活は便利になる一方だが、何よりも安心して使える製品でなければならない。

 それを保証する仕組みがなかったことは行政の怠慢だろう。経産省が打ち出した安全対策の多くも、これまで整備されていなかったことの方が、むしろ不思議なくらいである。

 ガス器具や電気製品のメーカーに事故情報の報告義務を課す。事故を起こした製品は、公表基準を明確にした上で、その機種名などを公開する。企業や関連団体には改善策を促す。

 警察、消防、国民生活センターなどとの連携も強化する。経産省内の縦割り行政の弊害も排し、製品安全連絡網や事故情報の統合データベースをつくる。

 消費生活用製品安全法や省令の改正を伴うものもある。作業を急ぐべきだ。対策がきちんと実行に移され、機能しているか、チェックすることも重要だ。

 経産省は、パロマ工業に対し、不正改造が極めて容易だった7機種について、緊急回収命令を出した。

 パロマグループは事故対策に巨額の出費を強いられ、業績の悪化で人員削減も迫られている。事故は85年から起きていた。初期の段階で顧客に周知し、自主回収などをしていれば、これほどの打撃は受けなかったのではないか。

 安全をおろそかにすると、自らの存立も危うくなりかねない。このことを企業も深く自覚する必要があるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060829ig91.htm