悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年08月30日(水) 00時00分

『幸輝』元支店長を逮捕 最後の案件、捜査実る 東京新聞

 富士見市の認知症姉妹が、天井裏などに不要な高額リフォーム工事を繰り返された被害を機に社会問題化した悪質リフォーム事件。昨年五月の発覚以降、県警の捜査は紆余(うよ)曲折をたどった。建設工事会社「幸輝」の埼玉支店長や本社営業部次長も務め、悪質な契約の中心的役割を果たしていた金子清隆容疑者(37)が二十九日、逮捕されたことで、約一年四カ月続いた捜査は一つの節目を迎えた。

 「幸輝で(埼玉)支店長だった金子(容疑者)を捕まえることに意味がある。何としても身柄を取りたい」(県警幹部)。幸輝は、八十一歳と七十九歳の認知症姉妹が不要な高額リフォーム契約を結んだ十九業者のうちの一社。金子容疑者は二〇〇一年ごろ一営業マンとして幸輝に入社。〇二年四月から二年間埼玉支店長を務め、〇四年四月には本社営業部次長に昇格。問題が発覚した昨年五月ごろは、東京、千葉、埼玉の三支店を担当する幹部として営業活動を取り仕切っていた。

 社会的関心は集まるものの、刑事的責任を問う作業は難航した。県警は昨年十一月、上尾市の無職男性=当時(71)=に「このままでは家が崩れる」などとうそを言い、屋根裏に不要な工事をして四十数万円をだまし取ったなどとして、詐欺などの疑いで同社元従業員二人を逮捕。しかしさいたま地検は今年三月、七十代の被害男性の証言に矛盾があるとして二人を不起訴処分に。約千五百万円という最も多額の契約を姉妹と結んだ、別の住宅リフォーム会社の四十代の元営業担当の男に関しても捜査を続け逮捕を目指したが、特定商取引法違反(不備書面交付)容疑で六月に書類送検するにとどまり「今度はきっちり詰める」と慎重に捜査していた。

 被害者の多くが高齢者で、当時のやりとりを日記などに記録していないことがほとんど。今回の被害者も当時のやりとりは記録しておらず、証言に頼らざるを得ない。被害者の証言にどう信頼性を加えるか、大半の工事にみられる不要な金具の取り付けが「補強でない」と百パーセント言い切れるか、裏付け捜査は困難を極めた。

 明確にうその告知と判断できる事案はないのか。県警は認知症姉妹の一連の捜査で押収した資料などから幸輝の工事を洗い出した。被害者が五十代と若く、専門家による屋根裏の鑑定の結果、かびや雨漏りの跡がないのに「ある」とだまして除湿効果のないかくはん機を設置するなど、明確にうそをつき、代金をだまし取ったと判断できる事案を見つけ出し、逮捕に結びつけた。

 「『何かあったら大変なことになりますよ』と耐震工事と明確にうたわずに、被害者を脅す巧妙な手口もあった。難しい事件だった」と捜査関係者は振り返る。幸輝をめぐる一連の問題で捜査を続けていた最後の案件。悪質リフォーム問題を追及し続けた県警の威信をかけた捜査が実を結びつつある。斉藤紀美雄東入間署長は「起訴されるまで全力で捜査を尽くす」と話した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20060830/lcl_____stm_____000.shtml