2006年08月29日(火) 10時10分

WSJ-イーベイ、海外テキスト広告事業でグーグルと提携合意（ダウ・ジョーンズ）

ニューヨーク（ウォール・ストリート・ジャーナル）米ネット競売大手のイーベイ(Nasdaq:EBAY)は28日、米国外の同社競売サイトのテキスト広告について、米インターネット検索大手グーグル(Nasdaq:GOOG)が独占的に掲載することで合意したと明らかにした。ネット企業間の提携関係が変化し始めていることを示す例だ。

今回の合意の下、両社は2007年初めにこの広告に関する取り決めのテストを開始する。両社は、広告の電話アイコンをクリックすると広告主と電話で話せる「Click-to-Call(クリック・トゥ・コール)」システムの開発でも協力する。

両社によると、契約期間は複数年で、取引によって得た広告収入の一部は分け合う。その他の具体的条件は明らかにされていない。イーベイは、この取引が06年、07年の業績に影響をもたらすことはない、としている。

今年に入り、イーベイはヤフーとも同様の契約を交わしている。成熟しつつある事業の促進を図る中、新しい提携関係を通じたイーベイの業界戦略を示すものだ。イーベイは初めて、検索広告を手掛ける他社の広告を自社サイトに掲載すると決定した。他の市場では、こうした他社の多くと競争を繰り広げている。

イーベイは５月、米国内の自社サイトにヤフーが独占的に広告を供給する契約を交わした。一方、ヤフーはイーベイの電子決済サービス「ペイパル」を宣伝することで合意。事情に詳しい関係者によると、ヤフーはイーベイの海外広告事業の一部の獲得も狙っていた。ヤフーは、アジアのオンライン競売事業でイーベイと競合関係にある。

競売、ショッピング、電子決済、インターネット電話(IP電話)などのサービスで他社と競争しているイーベイは、競合他社のうちの１社にパートナーとして依存し過ぎるのを避けたい考え。交渉に詳しい関係者らによると、イーベイは昨年のある時期までは自社でのネット広告事業の構築を検討していた。広告事業をグーグルとヤフーに配分することで、イーベイは主力の競売・マーケットプレース事業を推進し、新IP電話事業「スカイプ」とペイパルの普及も図る。

グーグルにとってイーベイとの提携は、米コンピューター大手デル(Nasdaq:DELL)、米ニューズ・コーポレーション(NYSE:NWS.A)傘下のフォックス・インターネット・メディア、米メディア大手タイム・ワーナー(NYSE:TWX)傘下のインターネット事業部門AOLなどとの一連の取り決めの流れを引き継ぐもの。グーグルは、こうした契約を通じて自社サービスとオンライン広告仲介事業の拡大を狙う。そのため、ヤフーやマイクロソフト(Nasdaq:MSFT)など他社と争っている。グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は、広告の販路拡大や、広告表示のためより多くのネットユーザーやサイトへのアクセスを得る上でパートナーシップは重要だ、と述べている。

マイクロソフトもイーベイとの提携を目指した。同社は検索広告事業の大口広告主の獲得を狙っている。マイクロソフトは先週、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手のフェースブックに広告を提供することで合意している。

イーベイとグーグルは、契約の具体的条件は明らかにしていない。だが、オンライン広告に関する取引は通常、非常に見返りが大きい。グーグルがニューズ・コーポレーションのSNSサイト「マイスペース・ドット・コム」に検索関連広告と技術を提供する契約は、ほぼ３年間で最低９億ドルの広告収入が保証されている。

イーベイ・グーグルの提携は、両社の長く複雑な関係に新たな局面を開いた。イーベイはグーグルがまだ非公開企業だった頃、グーグルの初期の広告主であり、現在は同社の最大の広告主のうちの１社である。

グーグルは過去１年間、徐々にイーベイの事業領域を侵食している。グーグルは、ユーザーが商品や３行広告を掲載できるサービスに参入したほか、電子決済サービス「チェックアウト」を導入。同サービスは、イーベイと同じく、イーベイのマーケットプレース出品者の多くを対象としているとみられる。事情筋によると、これによって両社間に緊張が生じたという。

グーグルとの競争の高まりにもかかわらず、イーベイは広告サービスを拡大させる提携先としてグーグルを検討せざるを得なかった。グーグルの広告技術が一流とみなされているほか、ヤフーは中国やその他のアジア諸国でオンライン競売事業を展開する競争相手だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060829-00000013-dwj-biz