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2006年08月28日(月) 22時36分

誰がやったか1件も判明せず…パロマ回収命令読売新聞

 不正な改造をしたのは結局、誰だったのか——。

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が続発した問題で、経済産業省は28日、同社に製品回収の緊急命令を出し、一応の区切りとした。同社製品での事故多発の事実を公表してから1か月半。しかし、事故の最大原因である制御装置の不正改造については、問題発覚後の点検調査などで明らかになった231件も含め、誰が行ったかは1件も判明していない。遺族からは「このまま幕引きされたのでは納得できない」と怒りの声が相次いだ。

 不正改造は、制御装置内の配線を短絡させることで、排気用ファンが停止してもガスが供給されるようにするもの。一連の事故28件のうち15件で行われ、死者が出た13件に限ると11件で行われていた。また、問題発覚後、パロマ側が23日までに点検作業を行った1万8211件のうち、1%を超える231件で見つかっている。

 経産省が28日に公表した調査結果書では、不正改造について「誰が行ったかの特定や、パロマ工業による組織的関与があったのかについての結論を得るまでには至らなかった」と説明。1件も実行行為者が判明しなかった点について、会見した同省官房総務課の西山英彦課長は「力の及ぶ限りやったが、解明はできなかった」と苦渋の表情を浮かべた。

 1990年に北海道帯広市で起きた事故で、長女ひとみさん(当時20歳)を亡くした吉田茂夫さん(68)は、「知りたいのは誰が不正改造をしたかだ。これまでパロマや経産省は何をやってきたのか」と怒りをあらわにする。吉田さんはパロマなどを相手に訴訟を起こし、その後、和解したが、改造の行為者は分からなかった。吉田さんは「裁判で争っていた当時と状況は変わらない。納得できず、娘も浮かばれない」と語った。

 96年に東京都内で死亡した山根敦さん(当時21歳)の父で松江市在住の健二さん(58)も「パロマ側は平謝りを繰り返すばかりで、誰が何のために不正改造したのかという再発防止の出発点は何も解明されていない」と憤る。その上で「今後もあらゆる方法を使って、なぜ息子が命を奪われなければならなかったのかを徹底追及するつもりだ」と、決意を新たにしていた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060828i214.htm