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2006年08月28日(月) 12時33分

マンションへの政党ビラまき、被告に無罪判決 東京地裁朝日新聞

 東京都葛飾区のマンションに04年12月、政党ビラをまくために立ち入ったことで住居侵入罪で起訴された被告の住職荒川庸生(ようせい)さん(58)に対し、東京地裁は28日、無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した。大島隆明裁判長は近年の住民のプライバシー、防犯意識の高まりに触れつつ「ドアポストまで短時間立ち入っての配布が、明らかに許されないという合意が社会的に成立しているとはいえない」と判断。荒川さんの立ち入りには「正当な理由がある」として住居侵入罪の構成要件を満たしていないとした。

無罪判決後、ガッツポーズで支持者にこたえる荒川庸生さん=28日午前、東京地裁前で

無罪判決に喜ぶ支持者たち=28日午前、東京地裁前で

 判決はまず、「どんな時に立ち入りが許されるかは、社会通念を基準に、立ち入りの目的・態様に照らし、法秩序全体の見地からみて社会通念上、許される行為といえるか否かで判断するほかない」との判断枠組みを示した。

 そのうえで「立ち入りの滞在時間はせいぜい7、8分」と短時間だったことを重視。さらに、▽このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報道もない▽40年以上政治ビラを投函している荒川さんも立ち入りをとがめられたことはない——と指摘。「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが、明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」と述べた。

 判決は、明確な「立ち入り禁止」の警告に従わずに立ち入れば住居侵入罪にあたるとしたが、このマンション玄関の張り紙では、「明確な立ち入り禁止の意思表示がされていない」と指摘し、立ち入りに正当な理由があると結論づけた。

 同種の事件では、立川市の防衛庁官舎での反戦ビラ配布をめぐり、市民団体のメンバー3人が起訴されたケースがある。一審は同罪の構成要件に該当すると認めつつ、刑事罰には値しないとして無罪とした。二審では罰金10万〜20万円の有罪判決となり、弁護側が上告した。

 無罪判決を受け、岩村修二・東京地検次席検事は「検察の主張が理解されず遺憾だ。判決内容を検討し、上級庁とも協議の上、控訴の要否を判断したい」とのコメントを発表した。

     ◇

 〈キーワード:葛飾政党ビラ配布事件〉 04年12月23日、被告の荒川庸生さんは東京都葛飾区内のオートロックではないマンションに立ち入り、共産党の都議会報告や区議会だより、区民アンケートの用紙と返信用封筒を、各階居室のドアポストに配布した。途中で住民男性に見とがめられ、110番通報された。警察で事情を聴かれ、帰宅しようとすると「住民男性によって住居侵入容疑で現行犯逮捕されている」と説明を受け、そのまま23日間、身柄拘束された。

http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200608280077.html