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2006年08月25日(金) 09時06分

<不動産担保ローン>「98歳まで」返済契約、結ばれる毎日新聞

 過剰融資の温床とされる消費者金融の不動産担保ローンをめぐり、がんや心筋梗塞(こうそく)を患った静岡県浜松市の男性(80)に、大手消費者金融が自宅を担保に月々16万円を98歳まで払わせる融資を行っていたことが分かった。銀行などの住宅ローンは完済年齢の上限を75歳としているケースが大半で、地元の司法書士は「不動産を奪い取ろうとしているとしか思えない」と批判している。
 男性は元浜松市職員。55歳の退職前に住宅ローンを払い終えた一戸建てに妻(76)と二女(51)の3人で暮らす。71歳の時に脳梗塞で入院し、その後、がんで胃を摘出した。心筋梗塞や腸閉塞も患って入退院を繰り返し、通院を続けている。
 消費者金融への債務は妻が親族との旅行のため内証で大手A社から20万円を借りたのがきっかけ。夫の入院費用などで額が増え、99年、3社で200万円近くなった債務を自宅を担保にA社で一本化した。だが、収入は月21万円の年金のみで返済に行き詰まった。02年、B社で借り換えたが自宅を取られそうになり、03年に再び自宅を担保にA社から1250万円を借り入れた。債務は当初の6倍以上に膨らんだ。
 その際、A社の社員3人が自宅を訪れ、貸借契約証書を前にためらっていた男性に詳しい説明もせず、「住宅ローンのようなものだ」と実印を押すよう促したという。貸借契約書や返済予定表によると、完済は20年後の2023年10月で、月々16万4600円の240回払い。金利15%で支払総額は3950万円。途中で男性が死亡し、家族の返済が滞れば自宅は差し押さえられる。
 男性から相談を受けた榛葉(しんば)隆雄司法書士は「平均寿命を考えれば健康な人でも98歳まで生きる保証はない。払えないのを見越した融資で常軌を逸している」と指摘する。この融資について、A社は「個別の事案についてはお答えできない」としている。
 一般に、ローン返済を終える年齢について法的規制はない。返せないことを見越した過剰融資は貸金業規制法で禁じられているが、罰則はなく、野放しにされている。
 「98歳までは(生きるのは)どう考えたって無理。家を手放すしかないのでしょうか」。男性は返済予定表を手に、途方に暮れた表情で言った。【多重債務取材班】
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(毎日新聞) - 8月25日9時6分更新

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