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2006年08月24日(木) 14時30分

「電話機リース」苦情急増 高齢の個人事業者ら狙う産経新聞

≪「もうすぐデジタル化」知識不足つけ込み≫

 高齢の個人事業者らを狙い、「間もなく黒電話は使えなくなる」「デジタル化で入れ替え工事が必要」などとうその説明をして高額なリース契約を結ばせる「電話機リース」の被害が急増している。相談件数は5年で3倍以上に膨れあがり、経済産業省では、苦情が殺到していた訪問販売会社を業務停止処分にした。通信機器に関する無知につけ込むかっこうで、被害は拡大の一途をたどっている。(森浩)

 ■総額800万円契約

 「電話代を払うために働いているようなものです」。東京都北区の自営業の男性(56)は、深いため息をついた。

 男性のもとに訪問販売会社の社員が訪れたのは、平成16年2月のこと。「電話がデジタル化になるから切り替えてくれ」と言われて信じてしまい、事務所に電話機3台とファクス1台を導入した。リース料は月に5万円。「ずいぶんかかると思ったが、『ビジネス用で多機能だから』などと説明を受けた」という。

 半年後に今度は別の会社の社員が訪れた。「『(今の契約より)安くしてあげるから』といわれて、切り替えた」。ところが電話機以外にもパソコンやコピー機が「押し売り同然」に運び込まれた。「パソコンなんかいらないといっても、『必要なものなんで』などと言って、取り合ってもらえなかった」と男性は振り返る。結局、言われるがままに、7年間で計800万円を支払う契約を結んでしまった。

 月々11万円強の支払いが負担となり、解約しようと問い合わせても、「担当が退社し、在籍していない」などと言われ、あげく「『安くする』などとは言っていない」と居直られてしまったという。男性は、これまで払った額を取り戻すため、弁護士に相談。民事訴訟を起こす準備を進めている。

 ■知識不足つけ込み

 この男性のような被害を訴える声は右肩上がりに増えている。

 国民生活センターによると、平成12年に年間2618件だった相談件数は、年間1000件ずつ増え続け、昨年は8647件に達した。

 2000億円の市場規模とされる一般的な電話機リース契約は、「販売会社」と「リース会社」が“役割分担”をしている。販売会社は、顧客を探して勧誘し、契約手続きを代行したうえで、リース会社に電話機を販売する。その後、リース会社が、その電話機を顧客に貸し出して利用料を受け取るシステムだ。

 リースに関する苦情の8割強は50〜70歳代の零細事業者とみられる。「IP電話(インターネットを利用した電話)といわれてもなんのことか分からない人も多く、口八丁手八丁で迫られれば、契約してしまうのではないか」と、経産省消費経済対策課では分析する。

 経産省では、うその説明をしてリース契約を結ばせたのは特定商取引法違反(不実告知など)にあたるとして、特に苦情が多かった販売会社「メディアサポート」(大阪)に対し先月26日、同日から3カ月の業務停止を命じた。

 ■「被害弁護団」も

 事態を重く見た京都弁護士会では、6月末に「被害弁護団」を結成し、電話相談会などを開催した。

 また3月に関西地区の被害者が中心となって、「電話機リース被害者を守る会」が結成された。これまで300件を超える相談が寄せられている。中には、市販価格の10倍以上の金額で契約を結ぶ例もあるという。

 事務局長の関祥一郎(しょういちろう)さんは「正確な統計はないが、被害総額は数百億円規模になるのではないか。振り込め詐欺のように認知度が高まれば、被害は減ると思う。とにかく泣き寝入りはしないでほしい」と呼びかける。

 「守る会」では電話相談も受け付けている。(電)0798・75・6227まで。

【2006/08/24 東京朝刊から】

(08/24 14:30)

http://www.sankei.co.jp/news/060824/bun064.htm