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2006年08月22日(火) 00時00分

米産牛肉歓迎されるの? 東京新聞

 米国産牛肉の輸入が七月末、再開された。しかし今年一月、牛海綿状脳症(BSE)の病原体がたまりやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入した騒ぎの記憶は新しく、消費者の不信感は根強い。米国産牛肉は日本でどこまで受け入れられるのだろうか。 (荒間一弘)

■消費者の反応は

 輸入再開が七月末に決まり、今月九日、解禁後初の米国産牛肉が首都圏の米系会員制量販店の店頭に並んだ。肩ロースが百グラム当たり七十六円と、国産の六分の一以下といういう値段を付けており、数パックをまとめ買いする客の姿も見られた。

 しかし、安さを歓迎する消費者はいるものの、「まだ安心できない」と敬遠する客も目立った。現在、政府が全国で続けている消費者説明会では「再開は時期尚早だ」などの意見が数多く出されている。

 こうした消費者の不安を受けて、ほとんどの外食・流通業界では取り扱いに慎重な姿勢を崩していない。厚生労働省によると、今回の解禁後に日本に到着した牛肉は、二十一日時点で航空便が約十便。船便も同日にようやく東京などに三便到着しただけで、昨年末の解禁時よりスローペース。多くの消費者が米国産牛肉を目にするのはもう少し先になりそうだ。

■現状での検査体制

 米国が日本に輸出できる牛肉は、月齢が二十カ月以下で特定危険部位を取り去ったものに限る。今回の輸入再開に当たって、厚労省と農林水産省は今年六月から七月にかけて、米国にある対日食肉処理施設三十五カ所をすべて調査。作業手引書をチェックしたり、確実に特定危険部位を取り除いているかを確認した。

 さらに昨年末の輸入再開の際には、通関で一部の箱を抽出して検査を行っていたが、今回からは当面、業者の協力を得て全部の箱を開けて調べる。また、今後米当局が食肉処理施設に抜き打ち検査を行う際も、日本の担当者が同席して輸出条件を順守しているかを見守ることになっている。

■店頭での産地表示

 現在、スーパーなどで「米国産」と表示義務があるのは、加工されていない生鮮肉。これに加えて十月からは、表面をあぶっただけの牛たたき肉、牛カルビなどタレに漬けた肉など加工度の低いものも表示が義務付けられる。しかし、玉ネギを混ぜたハンバーグやローストビーフなど加工度の高いものは対象外。農水省は消費者が正確な情報に基づいて食品を選択できるよう、全国の外食・小売団体に対して、義務付けられていない加工品でも積極的に表示するよう要請した。

 業界側でも消費者の不安を除く取り組みを始めており、全国焼肉協会では加盟店に牛肉の産地を店内で表示するよう助言、共通の表示シートを配布している。

■輸入条件の緩和は

 米国は輸入再開が決まった直後から、輸出できる牛肉を増やすため、月齢二十カ月以下となっている輸入条件を、国際獣疫事務局(OIE)が定める国際基準「三十カ月以下」にするよう日本に求めている。

 しかし、「現在の基準でも国民に不信感があるのに(条件緩和は)検討する状況にない」(農水省)と、日本側は今のところ協議に応じるつもりはない。「水際」での検査強化、消費者への説明を続け、現在のルールでの輸入を軌道に乗せることを最優先にしている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20060822/mng_____kei_____002.shtml