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2006年08月12日(土) 00時00分

「合体型」に夢中読売新聞

珍感覚にはまっちゃう

 水中でボウリングをしたり、太極拳の動きでテニスをしたり……。既存のスポーツのエッセンスを組み合わせた「合体型」スポーツに取り組む人が増えている。見た目は少し妙だが、簡単で楽しく、健康増進にも役立つそうだ。

水中ボウリング


水面に立てたピンに向けて円盤を投げる「アクアボウリング」(東京・新宿区で)

 6メートル先のボウリングのピンに向かい、円盤を水面に滑らせるように投げる。必ず1回は水面に触れさせるのが、ルールだ。

 「やった」「惜しい」——。7月末、東京・新宿の温水プールで開かれた「アクアボウリング」教室では中高年の男女約20人が歓声をあげていた。

 考案したのは、「山中スポーツ企画」(東京・新宿)の山中毅社長(67)。1956年のメルボルン五輪から3大会連続で五輪に出場し、競泳自由形とリレーで計四つの銀メダルを獲得した元トップスイマーだ。

 引退後も水泳の指導を続けてきたが、60歳を過ぎ、中高年向けの水中運動に取り組み始めた。

 「楽しみながら水中運動できないか」と昨年、思いついたのがアクアボウリング。全国行脚して普及に努めた結果、全国の水泳教室やリハビリ関連施設から「やってみたい」「講習に来て」という依頼が相次いでいるという。

 投げた円盤は、自分で水中を歩いて取りに行かなくてはならない。「漫然と水中を歩くより、遊びながら歩いた方が楽しい。効率の良い水中運動です」と山中社長は力説する。

テニス太極拳


ラケットとボールを使ってゆったりと体を動かす「太極柔力球」(東京・東久留米市で)

 「ワン、スー、ウォー……」。ラジカセから流れる中国語の音楽に合わせ、年配の男女がゆらゆらと体をくねらせ始めた。砂の入ったボールを乗せたラケットを振りながら、ダンスのような動きを繰り返す。

 太極拳の円運動を基本動作に、ラケットとボールを操る太極柔力球は91年に中国で誕生。日本でも愛好者が増加中で、日本太極柔力球協会(東京)は「国内には潜在的に約1万人の愛好者がいる」と話す。

 中国式体操の愛好者でつくる「中国健康法普及協会」の黒須孝会長(64)もとりこになった一人。昨年1月、知り合いの勧めで体をくねらせたところ、意外なハードさに驚いた。「見た目はゆったりだが結構、体力を消耗する。何より、単なる体操じゃないので楽しい」と黒須さん。

 効用もあるらしい。7月20日、東京・東久留米市の公園で仲間とともに練習していた主婦川越ツネさん(70)は、「左下半身のしびれに7年間も苦しんできたが、柔力球を始めてピタッと治った」という。

棒高+走り幅跳び


棒を使って池を跳び越えるフィーエルヤッペン。失敗すればドボン(大阪・岸和田市で)

 棒高跳びと走り幅跳びを同時に体感できるのが、フィーエルヤッペンだ。約10メートルの棒に飛びつき、人工の池を跳び越えてどれだけ遠くに着地できるかを競う。

 競技人口は全国で15人ほど。練習次第では、「日本一」の称号を手にするチャンスがある。日本フィーエルヤッペン協会の須知裕曠(すちやすひろ)会長(59)は、「女子選手はゼロ。公式記録会で跳ぶだけで、女性は日本記録保持者になれる」と誘(いざな)う。

 というと珍スポーツのようだが、オランダでは250年前から続く伝統競技だ。日本では99年に同協会が設立され、公式記録会が毎年開かれている。

 7月30日、大阪府岸和田市の競技場で練習が行われていた。池は幅約10メートルもあり、失敗すればドボンだ。同協会所属の堀毅厚さん(46)(大阪府泉南市)は、「練習せずに跳ぶと絶対にけがをする。私も一度、左足を折ったことがある」という。

 13人が参加したこの日の練習でも、池に落下する選手が続出。その様子がユーモラスなため、テレビのバラエティー番組などで取り上げられることもあるが、競技人口の増加に結びつかないのが悩みの種という。

 このほかゴルフ+ゲートボールの「トリットボール」、卓球+テニスの「パンポン」など、合体型スポーツは多い。ノンフィクションライターの最相葉月さん(42)は、「競技現場を取材すると、心からスポーツを楽しんでいる様子が伝わってきて、うらやましい限り」と話す。愛知教育大の野々宮徹教授(スポーツ史)は、「これほど様々なスポーツに親しむ国は、日本以外にない。健康志向の中高年が増える今後、気軽に始められる珍しいスポーツに親しむ人が増えるのは間違いない」と見ている。

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