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2006年07月22日(土) 00時00分

海の家“再建中”読売新聞

アルミで軽くひんやり、ヤシで南国風…

アルミ材で出来た「KULA」

 うっとうしい梅雨が明けると、いよいよ本格的な海のシーズンだが、この20年年来、海外リゾートに押されて国内の海水浴客は減少の一途をたどり、懐かしい「海の家」も減りつつある。しかし湘南を中心にこの夏、一風変わった海の家が次々と姿を現し、にぎわいを取り戻そうとしている。

 神奈川県鎌倉市の腰越海水浴場。ライブドア社長だった堀江貴文被告(33)が2年前、海の家「livedoor cafe」を開いた同じ砂浜で、今一番目立っているのはきらきら光るアルミ製の海の家「KULA」(クーラ)。名前の由来は鎌倉だ。

 建設したのは、日大理工学部海洋建築工学科の畔柳(くろやなぎ)昭雄教授(53)と学生たち。産業ロボット用のアルミ材890本を取り寄せ、10日間かけて組み立てた。


ソファや観賞植物が置かれ海を見ながらくつろげる「KULA」の室内

 畔柳教授によると、このアルミ材は放熱性が高く、温度は40度以上に上昇しないため、肌触りはひんやり。軽くてさびず、組み立ても簡単だ。

 空や海を近くに感じる開放的な設計で、テラスには芝を張り、カクテルバーも備える。海の日の7月17日に訪れた男性会社員(42)は、友人らとビールグラスを傾けながら、「こんな大人の遊び場が湘南にできるなんて」とご満悦だ。

 KULAの使用料は、ドリンク代・駐車場代など込みで1万1000円とやや高いが、利用者を1日40人に限定しているため、シャワー待ちで列ができることもない。8月末までの期間、すでに半分が予約で埋まっているという。

 1885年(明治18年)、大磯海水浴場に建てられた掘っ立て小屋をルーツとする海の家を、約20年間にわたって研究テーマとしている畔柳教授。最も身近な海洋建築物である海の家をイメージアップし、客を呼び戻したいと考えている。

 財団法人社会経済生産性本部によると、国内の海水浴客数は1985年の3840万人をピークに、その後は減少傾向が続き、2004年は2010万人にまで減った。ハワイやグアムなどに客を奪われたのが原因という。これに伴い海の家も減少。神奈川県によると、県内で届け出られた海の家は、01年は204軒あったが、05年には168軒になってしまった。


「木」にこだわったという南国風の海の家

 KULA以前にも、竹製など、手軽に建てられ質の高い海の家を開発してきた畔柳教授は、「海の家が本当の意味で国民の間に定着し、市民権を得てほしい」と話す。

 畔柳教授と共著で昨年、「海の家スタディーズ」を出版したライター渡辺裕之さん(51)によると、高度成長期のころは、神奈川県・葉山の海の家では、売り上げを数えるのに徹夜するほどの繁盛ぶりだったという。

 最近は家族連れが減ったが、「海の家に入ったこともなかった20〜30歳代の人が、海辺で楽しむ空間を作り始めた。夜間も営業する海の家も増え、大人が楽しめる場所に変わってきている」と話す。

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