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2006年07月21日(金) 06時04分

パロマ、82年に不具合を把握朝日新聞

 一酸化炭素中毒事故が相次いだパロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器について、親会社のパロマが、最初の死亡事故が起こる2年半前の82年に、部品のはんだ付け部分が割れる不具合の修理方法を書面にまとめ、社内に周知していたことがわかった。この不具合から不正改造につながったケースが少なくとも2件確認されている。不具合は寒冷地の室温を10度程度と高く見込んでいたことが主な原因とみられる。80年の発売のほぼ直後の時期にはんだ割れが起きていたことで、機器に設計上の欠陥があった疑いが浮上した。

 パロマの社内文書によると、不具合があったのは経済産業省が指摘した7機種のうち、「PH—81F」「同101F」「同131F」の3機種。電子回路の基板ではんだが割れ、点火ができなくなった。

 問題の湯沸かし器は、発売からまもない時期に、パロマに苦情が寄せられた。札幌市のガス業者によると、この湯沸かし器が北海道内に広く出回ったのは発売1年後の81年だが、一冬を越した82年には多数の相談が寄せられたという。

 パロマによると、82年に該当機種を調べたところ、基板のはんだが割れたり、接触不良を起こしたりしていたことがわかった。同年夏ごろには不具合の修理方法として、文書で関係する社員に知らせた。

 パロマは18日の記者会見で、湯沸かし器が事故を起こした原因として、それまで主張していた不正改造に加え、機器の老朽化によるはんだ割れがあると説明。「10年以上使われていた機種で確認された」としていた。

 これまでのパロマの説明では、今回の問題で同社が把握する事故27件のうち、北海道で起きた事故は15件を占める。はんだ割れの関係する事故は、(1)点火ができなくなり、応急措置として安全装置を解除する不正改造をした(2)老朽化で安全装置の働きが劣化した——の二つのケースがあるという。パロマははんだ割れの件数を公表していないが、前者は少なくとも2件あり、後者は最大で4件の可能性がある。

 はんだが割れる原因について、00年10月、当時のパロマ工業の品質管理部長は、北海道恵庭市で95年にあった事故を巡る損害賠償請求訴訟で、「温度変化による」と証言していた。

 裁判記録によると、元部長ははんだが適応できる温度について、「10度から60度くらいを想定している」と説明。北海道では冬季、室温が10度以下にさがることもある。頻繁に温度が変化すると、はんだが割れることがあるとし、寒冷地では温度差の範囲が広がるため、はんだ割れの可能性が「多くなる」としていた。

 今回の問題で最初の事故は札幌市で85年1月に起き、2人が死亡、原因は不正改造だった。92年4月に同市で2人が死亡した事故と、95年1月に恵庭市で1人が重症となった事故は、はんだ割れによる不正改造が原因だったことが判決などから判明している。

http://www.asahi.com/national/update/0721/NGY200607200021.html