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2006年07月19日(水) 00時00分

(7)男性キャラに「萌え」読売新聞

◆生身のオトコは「面倒」

男性キャラクターに夢中になることがある女性。「現実の恋愛は、ちょっと面倒かも」(東京・池袋で)

 東京・池袋には、「乙女ロード」と呼ばれる場所がある。ヤオイ好きの女性たちが多く集うことで最近知られるようになった。ヤオイとは、漫画やアニメで男性キャラクター同士の恋愛関係やセックスを描いた作品のこと。

 「自分って、ちょっとヘンかなあって思うことがあるんです」

 乙女ロード近くで出会った東京都内のアルバイト、カナエさん(20、仮名)は突然“告白”した。作品を見ては性的興奮を覚えるのだという。

 ヤオイは女性の作者が女性のために描いており、一部に熱心なファンがいる。

 都内の大学に通うケイコさん(23、仮名)もファン。年に2回開かれる、こうした同人誌の漫画を売買するコミックマーケットには必ず足を運ぶ。

 「1年半付き合っている男性はいます。彼と一緒にいる時はそれなりに楽しいと感じます。でも『彼』か『ヤオイ』か、どちらを選ぶかって言われたら、どうかな……」

 現実の恋愛もするが、それとは別に仮想世界のキャラクターに性愛を感じる——というのが彼女たちに共通する気分のようだ。ただ、彼女たちの中には、現実の恋愛やその先のセックスを考えると面倒さが先に立ってしまうと感じる人もいる。

 都内在住のアルバイト、レイコさん(21、仮名)は「生身の男性と交際するのは、相手に合わせて音楽とかファッションとか、話題を探さなければならないでしょ。それって大変そう。ましてセックスまで考えるとね……」と話す。現実の恋愛に少し二の足を踏むのだ。

 漫画やアニメのキャラクターに性的な魅力を感じる「萌(も)え」という言葉がある。登場したのは1990年前後とされるが、当初は男性が美少女キャラクターなどにこの言葉を使うのが一般的だった。今ではそれが、ヤオイなどの男性キャラクターに女性が抱く感情としても語られ出した。

 精神科医でオタク現象に詳しい斎藤環(たまき)さんは「仮想世界のキャラクターへ萌えの感情を持ち、ある程度の性的な満足感を得始めると、現実の恋愛やセックスは消極的になる傾向がある」と指摘する。

 仮想世界の性愛に慣れてしまうと、「面倒で手間のかかる」現実世界のそれを求める気持ちが薄れてくる。「性愛に限らず、体験自体にも仮想体験だけで満足した気になる若者が、男女を問わず増えている。仮想世界の『感動』や『快楽』なのに、現実以上に体験した気持ちになってはいまいか」と斎藤さんは話している。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/sfuukei/fe_sf_20060719_01.htm