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2006年07月15日(土) 00時00分

いつでもペットと読売新聞

犬と一緒にヨガ 猫と一緒にお墓

 ペットを単なる愛玩(あいがん)動物ではなく、家族のような「コンパニオン」(伴侶、仲間)として扱う風潮が広がるなか、なんでも「ペットと一緒に」という人が増えている。犬と共にヨガをするニューヨーク生まれの「DOGA(ドガ)」が流行し、都内ではついに、ペットと一緒に納骨してもらえるお墓も登場した。


愛犬と一緒にヨガをする「ドガ」が人気だ(東京・世田谷の「ハッピーボディ」で)

 東京・世田谷のヨガスタジオ「ハッピーボディ」。愛犬のミニチュアダックスを抱えた女性2人が、背筋を伸ばしてひざを折り曲げ始めた。犬も飼い主に身を委ねてトロンとした表情だ。

 「息を吐きながら前に倒します」とインストラクターの神谷美奈子さん(39)が指導する。見た目はゆっくりだが、生徒の額からはすぐに汗が滴り落ち始める。1時間弱のレッスンを終え、港区の会社員女性(37)は、「犬を抱えていると負荷がかかってちょうどいい」と笑顔をみせた。

 ドガはニューヨークの犬好きセレブの間で流行し、数年前に日本に上陸。ハッピーボディが昨年11月、ドガ教室を始めたところ、口コミで評判となり、ペット連れの生徒が次々と現れるようになったという。

 神谷さんは、「愛犬と一緒にヨガをすることで、一体感が生まれる。抱かれる犬は、幸せいっぱいですよ」と話す。

 千葉県浦安市の主婦舘(たち)里枝さん(46)もドガ愛好者の一人。ドガの時間にしている就寝前になると、毎夜、愛犬のチャコとニコルが「早くやろうよ」と言わんばかりの表情で寄ってくる。「パブロフの犬じゃなく、ドガの犬でしょうか」と舘さん。

 同じく犬好きで商社勤務の夫(47)もドガにトライしたが、運動不足で体が硬く苦労した。ただ一つ、うまく出来たのは「死体のポーズ」。チャコと一緒に床に寝そべるだけのポーズだそうだ。舘さんは、「イルカと一緒に海で泳いでいる感覚に近いのでは。犬から何かをもらい、こちらも与える。その繰り返しが心地いい」とドガの魅力を語る。


愛猫の名前が刻まれている墓石(東京・板橋区の小豆沢墓苑蓮華堂で)

 「この子たち全員、私たちの家族でした」

 埼玉県桶川市の自営業小黒康正さん(57)はそう言って墓石に刻まれた猫の名前をなでた。傍らの妻、智恵子さん(61)も穏やかな笑顔でうなずく。約1500の墓がある小豆沢墓苑蓮華堂(東京都板橋区)は、ペットと人間を一緒に納骨することが出来る霊園だ。

 小黒さんの墓に埋葬されているのは、動物好きだった智恵子さんの両親と愛猫10匹。自分たちや今飼っている2匹も、死後は当然、同じ墓に納骨してもらうつもりだ。

 この日は猫たちの好物だった生ホタテを供えた。「家族であれば、亡くなった後も一緒にいたいと思う。そんな願いは、人間でも動物でも同じです」

 ペットと飼い主が一緒の墓に入れるサービスを同霊園が始めたのは昨秋から。今では首都圏だけでなく、愛知県や愛媛県からも墓の購入希望があるという。

 ペットと一緒に宿泊できる旅館やホテルが増えるなど、ペットと飼い主の密着化が急速に進んでいる。東京都三鷹市には、「必ず犬を飼う」ことを入居条件にした賃貸マンションまで現れた。

 「ドガ 犬的ヨガ健康法」(新潮社)を監訳したエッセイストの小澤征良さん(34)は「無条件に飼い主になつく犬は、人間にはない神聖な純粋さを持っている。ドガのように、飼い主と一緒に楽しむスタイルは今後も広がっていく気がする」と話す。

 一方、臨床心理士で獣医師の吉田千史(ちふみ)さん(53)(日本ペットロス協会代表)は、「ペットに愛情を注ぐのは素晴らしいことだが、親子や夫婦関係と一緒で、過剰な相互依存に陥るのはマイナス面もある。お互いに自由に、ほど良い距離で接していくのがベスト。適正な『距離感』が構築できてこそ、様々な場面で一緒であることに意味が出てくる」と指摘する。

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