悪のニュース記事

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2006年06月28日(水) 00時00分

トラブル防衛策読売新聞

契約書の比較検討を

有料ホームに関する電話相談に応じる相談員たち(横浜市の消費生活総合センターで)

 手の届く価格帯が増え、老後の住まいの身近な選択肢となった有料老人ホーム。その一方で、トラブルも増えている。入居を決める際、どんな点に注意したらいいのだろうか。(本田麻由美)

 「たった5日間しか入居していないのに、300万円の権利金は全額返せないと言われたんです」

 関東地方に住むAさんは、昨年末、県内の消費生活センターに電話し、怒りもあらわにそう訴えた。

 入院中だった父親(80)が退院を迫られ、困ったAさんは、ある有料老人ホームに父親を入居させた。初めに支払った入居一時金は、終身利用権利金300万円と保証金200万円。安くはないが、特別養護老人ホームに空きはなく、提携病院で医療対応もすると聞いて決断した。

 だが、父親は入居してすぐ、胃に管を通す手術を受けるため10日間入院。ホームに戻った数日後に容体が急変し、緊急入院した病院でそのまま亡くなった。

 「ホームにいたのは5日間だけ。支払った計500万円から5日分を引いた残金を返してほしい」。Aさんの求めにホーム側は、「入院時を含め部屋は2週間確保した。権利金は、契約書で入居後7日を経過したら一切返金できないとしている」と拒否。保証金は「入居2年に満たない場合は返金するが、2年後に返す」と回答してきた。

 「不当だ」とのAさんの訴えを受け、相談員が交渉。権利金は半額戻ることになったが、ホーム側は「保証金は2年後」と譲らず、Aさんは「事を長引かせたくない」と受け入れた。

 事態を重くみた厚生労働省は、4月からホーム側にサービス内容や費用などの情報開示を義務付け、重要事項説明書で一時金の返還率などの明示も求めた。また、新たに開業するホームには、倒産時に備え一時金を最大500万円まで保全することも義務化。設置運営指導指針で、7月からは「契約時から90日以内の解約は(利用期間の利用料等を除き)一時金の全額を返還すること」としている。

 これに対し、消費者契約に詳しい東京経済大教授の村千鶴子弁護士は、「契約内容の適正化と消費者保護を図るため、一時金の償却期間など必要と思われるものは法で基準を定めるべきだ」と強調。現時点でのトラブル防衛策としては、「見学前に重要事項説明書や契約書をよく比較検討すること」を挙げる。また、今夏以降、ホームの情報が都道府県のホームページで公表される予定であることから、木間さんは「退去者数や退去先を見れば、介護の質も分かる」とアドバイスしている。

 朗(老)年最前線第3部「有料老人ホーム」は今回で終わります。第4部は、老後の仕事についてお届けします。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kaigo/rounen/20060628ik08.htm