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2006年06月20日(火) 00時00分

劇場からデジタルへ お笑いのプロがもくろむIT戦略読売新聞

 吉本興業は国内最強のコンテンツ制作集団の一つだ。テレビ番組を支えるタレントだけでなく、制作機能も備え、デジタルCS放送やインターネットに番組も抱える。デジタルコンテンツの総責任者に戦略を聞いた。

現場から発想するお笑いのプロ

中井 秀範  (なかい・ひでのり)
吉本興業 権利開発センター長キャスティ 代表取締役
 1958年、富山県出身。慶応大法学部卒。81年入社、桂三枝、明石家さんま、ダウンタウンらのマネジャーを経て、吉本新喜劇プロジェクトに参加。ファンダンゴの代表取締役を歴任して、03年にキャスティ代表取締役就任。TEPCOと提携したブロードバンドサイト「casTY」やCSスカパー「ファンダンゴTV」などを手がけてきた。吉本の権利開発センター長として、デジタルコンテンツを統括する。
—— 吉本興業の原点は寄席で落語を聞かせてお客様から木戸銭をもらう演芸です。そこから出発した芸能プロダクションがここまでITに力を入れている理由は?

中井 吉本興業は時流のメディアをうまく利用してきました。戦前、落語家の桂春団児が、禁を破ってラジオ番組に出演する事件を起こしました。タダで聴かれると劇場に客が来ないのではと、心配していたら、結果は逆でした。戦後はテレビというマスメディアと共に成長し、日本で一番大きなお笑いの会社になりました。

 新し物好きの吉本として、地上波テレビの次は何や?と。規模が小さいから、カネを使わんと工夫しろと。タレントや制作のノウハウを持つ吉本と、技術とインフラはあっても、コンテンツを持たないKDDIがインターネットの世界で組んで、仕事を始めたのが「ファンダンゴ」です。それがデジタルCSに発展しました。テレビ局との仕事は、共同製作になりますが、うちはタレントも制作機能もあるから、自分でメディアを持った方が早いと。

 僕が吉本に入社した20数年前、ケーブルテレビでMTVが始まった。これだけタレントがいて、制作会社もあるんだから、MTVみたいなものがきるだろうと、会社にレポートを出した記憶があります。今はデジタルCSなら吉本でも波が買えるくらいのコストになりました。そこで流したコンテンツはブロードバンドに流せるし、携帯にも転用でき、DVDでも売れる。自由に2次、3次利用できる訳です。

—— 自前で権利処理ができるから、話は簡単だと。

中井 借り物でやると、権利者がどんどん増えますから。著作権者が1人でも「だめ」といったら2次利用できません。全部自前でやるなら、僕がOK出せばすむ話ですから。

—— TEPCOとの合弁会社「キャスティ」のコンテンツ「ひかライブ」は、インターネット的な双方向の娯楽を提供していますね。

中井 光ファイバーをどう遊ぶか、生活に役立てられるか。「casTY」を始めるときに、それを東京電力さんからきかれたんですよ。それなら、上りも早い光の特色を強調したコンテンツにしようよと。お手本をプロの手で作ってみたのが「ひかライブ」です。ウェブカメラとツールさえあれば、だれでも個人放送局を持てる。だれもが自宅で料理教室が開けるし、エンターテインメントを発信できる。それは一方通行のマスメディアと食い合わない、全然違う楽しみやと思います。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20060620nt05.htm