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2006年05月30日(火) 00時00分

大阪「名物」駐禁どうなる 6月から取り締まり民間委託朝日新聞

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駐車監視員の制服。携帯する端末に入力したデータが、黄色い違反標章(左下)に印刷される=大阪府警本部で

   

 道路交通法の改正を受け、6月1日から全国の都市部などの違法駐車を民間の駐車監視員が取り締まるようになる。「車両から離れたら即違反」ともなるため、摘発数が大幅に増えることが予想される。全国の駐車違反取り締まり件数の1割を占め、“名物”とやゆされる大阪市の違法駐車は、果たして減るのか。運輸や流通業界は「あまりにも大きな変化で、死活問題」と直前まで対策に懸命だ。

 新制度のスタートで、大阪府警は1年間の摘発件数が現在の3倍に当たる80万件になると見込む。京都府警も約3倍の15万件、兵庫県警の担当者も「大幅増」とみる。

 大阪市内では8区域で、6社・団体が違法駐車の取り締まり業務を担う。

 大阪・ミナミ周辺の取り締まりを受け持つ、人材派遣業「日経サービス」(大阪市中央区)は5月中旬に事前研修を実施。同社の駐車監視員約30人が、取り締まりに携帯するデジタル機器の端末の操作に悪戦苦闘した。「入力の順番が違うのかな」「バッテリーが入ってないんじゃないの」

 監視員の多くが50〜60代。2人1組で、1日午前6時〜午後10時のうち8時間巡回する。担当者は「5月いっぱい、ぎりぎりまでやることになりそう」と焦る。

 大阪府警の1年目の委託額は総額で約15億円。同社は新制度を前に「駐車監視事業部」を新設し、約100人の監視員を新規採用した。近藤泰章社長は「今後も様々な公共機関の仕事が民間に委託されるだろう。今回で実績を作っておきたい」。

 淀川、西淀川、東淀川の3区で業務を行う警備・ビル管理業「伸和サービス」(大阪市北区)の藤浦重美取締役は、「初年度は赤字覚悟。公共の仕事は難しいからこそ、実績を得る重みは計り知れない」と強調する。

 ■トラブル警戒

 受注各社が最も警戒するのが、運転者とのトラブルだ。警察官に対しても「なぜ自分だけ」と反発する運転者は少なくない。府警幹部も「監視員はもっと反発される恐れがある」と不安を持つ。

 「車動かして」ではなく「動かした方がいいですよ」▽車に戻ってきた運転者と鉢合わせしないよう、作業は手早く——。ある会社はマニュアルを作り、研修で監視員に徹底している。「暴力ざたになりそうなら110番」と監視員に指示した会社もある。

 監視員が運転者にけがをさせられたりした場合などを想定した「放置車両確認事務総合保険」も発売され、全国ではすでに数社が契約している。

 ■負担増

 「ドライバーはトラックから離れることができなくなります」「搬出入作業にご協力をお願いします」

 新制度対策に悩む大阪府トラック協会(大阪市城東区)は5月下旬から、荷主や取引先にチラシ10万枚を配り始めた。「迷惑駐車と同じに扱われると物流は相当混乱する」と担当者は嘆く。

 コンビニエンスストア大手のローソン(同府吹田市)は、約3割の店舗に専用の駐車場がない。近くに賃貸駐車場もない一部の店への納品には、運転手とは別に補助員をつけることにした。広報担当者は「人件費を含めて負担は大きいが、ほかに手がない」と話す。

 〈違法駐車取り締まりの主な変更点〉 (1)取り締まりのうち「確認作業」が民間委託される(2)取り締まりの対象が「チョークで印をつけて一定時間たった後」から、「車両放置を確認した時点」になる(3)運転者が反則金を納めない場合は車の持ち主に「放置違反金」が科される——の3点。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200605300029.html