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2006年05月25日(木) 09時50分

団塊に人気「高級炊飯器」 炭の釜、底にはダイヤモンド粒産経新聞

≪食へのこだわり、高い潜在需要≫

 10万円前後する高級炊飯器が人気を集めている。炭でできた釜を使ったり、釜の底にダイヤモンド粒をちりばめたり…。熱伝導をよくして、よりおいしくご飯を炊こうという工夫で、見た目にも「ブランド感」が漂う。主なターゲットは、食にこだわりがあり、金銭的な余裕のある団塊の世代だ。(山口暢彦)

 ビックカメラ新宿西口店(東京)6階の調理家電コーナー。炊飯器売り場は平日の夕方にかかわらず、中高年夫婦らでにぎわう。人気を集めているのは、高級炊飯器。その1つが、三菱電機が3月に発売した「本炭釜」使用の炊飯器「炭炊きIHジャー炊飯器」だ。店頭価格は9万9800円。

 釜に、従来のような金属ではなく、炭素を使っているのが特徴だ。「熱伝導に優れるため、ご飯全体が均1に加熱され、より甘くふっくらと炊き上がるんです」と、売り場担当の吉岡道悦(みちよし)さん。

 釜は、中国の工場において3000度で90日間焼いた炭素の円柱を職人が削って仕上げる。炊飯器の外観は、黒に赤のラインを引いた「重箱」風のデザインで、高級感が漂ってくる。

 三菱電機によると、顧客ターゲットは「価値観にかなうものにはお金を出してもかまわないと考えているアクティブシニア」。広報担当の水野和彦さんは「団塊の世代は子供が独立して夫婦2人暮らしになり、食費を自分たちのためにかけられるようになっている。おいしいものを食べたいというこだわりを持つ人には(炊飯器は)ニーズがあると考えた」と、高級炊飯器の開発に至った背景を説明する。

 また、20−30歳代の単身の男女もターゲットだ。「おかずはデパ地下(デパートの地下)などで買った総菜を食べるが、ご飯はおいしいものを自分で炊いて食べたいという人は多い」という。

 一方、釜の底にダイヤモンドの微粒子をコーティングした炊飯器「旨火(うまび)ダイヤモンド銅釜」シリーズを、昨年6月から発売しているのは、松下電器産業。今月発売した新製品(店頭価格7万2800円)は、ふたや側面にもダイヤのコーティングを拡大した。

 ビックカメラの吉岡さんによると、「ダイヤの微粒子をまぶすことで、米に均等に熱を行きわたらせることができる。米をむらなく柔らかくする」と、やはり熱伝導を良くすることが目的だという。釜をのぞきこむと、キラキラした細かい粒子が鮮やかだ。松下電器によると、「売れ行きは好調」という。

 三菱電機の水野さんによると、洗濯機や冷蔵庫といった、いわゆる「白物家電」市場では、やや高価ではあるが、高機能な製品が、こだわりを求める中高年層の間で人気が広がっている。“後発”ともいえる高級炊飯器だが、新商品の開発ラッシュで今後、ニーズや関心が高まっていくのは確実だ。

≪主流はIH式≫

 電気炊飯器は「IH(電磁誘導加熱)式」と「マイコン式」に大別される。IH式はコイルによって釜に渦(うず)電流を起こし、その電気抵抗で釜全体を加熱する。マイコン式は、本体の底にあるヒーターが加熱し、釜に熱を伝える。IH式のほうがマイコン式より熱が全体に伝わりやすく、ムラなく炊ける。

 日本電機工業会によると、電気炊飯器の国内出荷は年間600万台以上で推移している。ここ数年、その数は少しずつ増え、平成16年度にはIH式が過半数を占めるようになった。

 価格帯では大きく3つに分かれる。最も安いのが、ひとり暮らし用の三合炊きで、実勢価格は数1000円から1万円前後。その多くがマイコン式だ。次は2万−3万円で、3−5人家族向きの五・五合炊きが人気。そしてその上の価格帯として、三菱電機や松下電器が出しているような高級製品がある。この2つの価格帯では、IH式が主流となっている。

【2006/05/25 東京朝刊から】

(05/25 09:50)

http://www.sankei.co.jp/news/060525/bun034.htm