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2006年05月11日(木) 00時00分

相次ぐ検問突破 警備に課題 成田空港朝日新聞

 成田空港の検問突破事件で、成田空港署は9日、自称、茨城県鹿嶋市中、無職森隆一(たかし)容疑者(51)を器物損壊容疑で逮捕した。同署の調べで、同容疑者はゲートがなく出口封鎖ができない道路を通り、東関東自動車道に逃走したことが分かった。空港では昨年11月にも検問突破後、同様のルートで逃走した男が、パトカーで追跡した署員を刺殺する事件があったばかり。相次ぐ検問突破・逃走事件に、利用客らからは空港の危機管理を問う声もあがっている。(大和田武士)

●2事件、同じルートで逃走

 検問所では常時、成田国際空港会社(NAA)から委託された民間警備会社の複数の警備員が、身分証の確認やトランク内の検査、通行目的の聞き取りを行っている。

 過激派の侵入防止など「成田」ならではの歴史背景を踏まえた措置で、78年の開港以来続いている。国内空港で唯一の厳戒態勢だ。しかし、NAAによると、年間数件の検問突破事件が起きているという。

 署員刺殺事件では、容疑者は車の前に置かれた「エックスアングル」と呼ばれる車止め(高さ約50センチ、幅約1メートル、重さ約10キロ)を、はじき飛ばして検問所を突破した。

 この教訓を生かし、NAAは事件後に検問を強化。運転手の身分確認拒否やトラブルなど必要に応じて、車の前方に加え、後方にも車止めを置くように改善した。

 しかし、今回の事件で車は時速60キロで検問を突破している。伊藤博巳・NAA保安警備部長は「一瞬のことで車止めを置くことはできない、想定外の状況だった」とする。

 検問が突破された直後、NAAなどは一般車両用ゲート3カ所をはじめ、業務車両用駐車場など、すべての出入り口を約40分間にわたって封鎖。不審車両を空港外に逃がさない措置だ。

 しかし、その封鎖の例外が第1、第2ターミナルから新空港道〜東関東自動車道に抜ける出口2カ所だった。

 同署の調べに対し、容疑者は「気がついたら高速に乗っていた」と供述。検問突破後、第2ターミナル前を通過し新空港道、東関東自動車道に逃走したことが判明した。刺殺事件と同様のルートだ。

 容疑者は「初めて空港に来た」と供述しているというが、出口封鎖の抜け穴を偶然、すり抜けた形になった。

 9日の出口封鎖で、第2ターミナルの駐車場内に足止めされたトラック運転手の男性は「検問が突破され、しかも逃げられるなんて信じられない。危機管理をしっかりしてほしい」と話す。

●「入り」だけは厳重 朝の渋滞対策が壁

 一方で、NAAは「空港警備は『入り』は厳重にするが『出』は原則としてチェックしない」と説明。伊藤部長は「今回のような例外を想定し、一般客の利便性を度外視してまで、高速道方面出口の警備強化は難しい」と、とまどいを隠さない。

 両事件で突破された第2ゲート検問所は、1日平均約4万3千台が通過する。朝の通勤ラッシュ時には1時間に約4千台が集中し、渋滞も起きる。

 ある警備関係者は「利便性を考えた場合、今以上の検問強化は現実問題としてできないのではないか」と話す。

 県警空港警備隊は「何らかの改善策を検討していきたい」としている。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000605110001