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2006年05月05日(金) 11時35分

買春も着服も実名隠し、官公庁の懲戒免「指針」盾に読売新聞

 官公庁が懲戒免職にした職員を匿名で発表するケースが相次いでいることが、読売新聞のまとめで分かった。

 懲戒処分公表は個人が特定されないことを基本とする人事院指針を理由に挙げる例が多く、逮捕されるなど悪質性が高くても匿名が少なくない。人事院では「一律に匿名発表を求める趣旨ではない」としているが、指針が「官の情報隠し」に使われている実態が浮かんだ。

 人事院の指針を理由に3〜4月、懲戒免職にした職員を匿名で発表したのは、外務省や文部科学省、法務省出先機関の東京法務局。

 外務省職員が4月、児童買春容疑で警視庁に逮捕された事件では、外務省が免職を匿名で発表。警視庁は実名を公表したが、逮捕直前に懲戒免職となっていたため「無職」とした。

 外務省は、免職にした職員が逮捕された男かどうかについて、人事院の指針を理由に「ノーコメント」。同省人事課は「認めると実名を公表したことになる。本人の将来も考え、総合的に判断した」としている。

 文科省も3月、会員親睦(しんぼく)費や公費計約700万円を不正流用した日本学士院の前事務長を免職にしたが、実名を明かさず、「人事院のルールに沿っている」。東京法務局も4月、児童ポルノ動画のCD—ROMなどを作成・配布した調査官の免職を発表したが、逮捕・起訴されているのに実名を伏せ、「人事院の基準では必ずしも公開しなくても良い」と説明した。

 自治体でも、東京都狛江市は4月、のぞき目的で女子トイレに侵入して逮捕され、罰金刑を受けた職員を懲戒免職にした際、警察が逮捕時に氏名などを公表していたが、「人事院指針に沿った」と匿名発表した。

 人事院に準拠した指針を持つ裁判所、人事院より前に独自の指針を作った警察も、同様だ。東京地裁は3月、司法修習生に払う旅費を着服した事務官を懲戒免職とし、業務上横領容疑で告発したが、最高裁の指針を挙げ、匿名で発表。埼玉県警も同月、公金40万円を着服した朝霞署会計課長を同容疑で書類送検し、懲戒免職にしたが、警察庁の指針を理由に匿名とした。

 人事院が2003年、各府省庁などに通知した指針では、「個人が識別されない内容を基本」としつつ、「社会的影響、職責等を勘案して別途の取り扱いをすべき場合がある」との注意がつけられている。人事院審査課では、「指針作成は懲戒処分自体を公表しないことに批判があったためで、目的は『行政の信頼確保』にある。実名発表を禁じるものではなく、各省庁が責任を持って判断してほしい」と困惑気味だ。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6000/news/20060505i204.htm