悪のニュース記事

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2006年04月20日(木) 00時00分

信販会社を一斉提訴 悪質業者の高額契約を助長 東京新聞

 住宅リフォームや呉服過量販売(次々販売)などの悪質商法の業者と提携していた信販会社各社に対して、全国各地の被害者らが「支払い済みの金(既払い金)を返して」と、今月二十五日に一斉提訴する。「悪質業者と一体になって、返済能力をはるかに超えた金額のクレジットを組んだ責任を追及すべきだ」という弁護士らの呼びかけに応じたもので、割賦販売法の見直し論議にも絡んで波紋を広げそうだ。 (白井 康彦)

 悪質業者が高価な商品を売りつけようとする場合、多くは消費者に「クレジットを組みませんか」と勧める。

 消費者は、業者と商品売買の契約をし、同時に信販会社とクレジット契約を結ぶわけだ。商品代金は信販会社が業者に一括で立て替え払いし、消費者は信販会社に分割払いしていく。信販会社の加盟店となった業者がこうした取引を行える。

 全国の弁護士や司法書士らが昨年七月に「クレジット過剰与信対策全国会議」(代表・釜井英法弁護士)を設立した。

 昨年、悪質住宅リフォームが社会問題化したのに続き、関西地方での呉服過量販売などクレジット絡みの事件が一層クローズアップされ、一斉提訴の動きが加速した。

 対策会議の事務局長を務める拝師徳彦弁護士は「まだはっきりしないが、全国で十数件の提訴が見込める」と話す。

 今月十三日、悪質営業の呉服販売大手「愛染蔵(あぜくら)」(本社大阪市)の被害者説明会が大阪弁護士会で行われ、約三百五十人の被害者が来場。説明の映像は同時刻に近畿四県の弁護士会へも流された。

 同社はテレビCMを通じ関西では有名だったが、昨年秋に被害者に提訴され、実名報道されたことなどで業績が悪化。今年三月十六日に自己破産申請した。同二十日には同社社長が自殺した。

 説明会にはテレビ各社のカメラも多数。被害者らはマスコミの取材に「展示会に誘われて断り切れない雰囲気の中で、無理やり契約を結ばされた」などと訴えた。

 同社以外の呉服販売各社の強引な営業に関する相談も弁護士らに多数寄せられている。そんな中で、浮かんできたのが呉服販売業者と信販会社の密接な協力関係だった。

 呉服の展示会会場となるビルの一室に信販会社の担当者が何人も集められ、「強引に売買契約を結ばされた女性らを相手に次々とクレジット契約の手続きをしていた」という証言は多い。

 本紙生活部には「信販会社への分割支払いを、銀行口座からの引き落としでなく、呉服販売業者の店への持参にさせられた。その店でまた強引に呉服を売りつけられた」という被害者の訴えも寄せられている。被害者には「呉服販売業者と信販会社が結託していた」と見えてしまう。

 「過剰な信用供与」も目立つ。呉服販売の一業者に関する信販会社一社のクレジット契約が十数件もあり、合計金額が一千万円を超えるようなケースが少なくないのだ。

 悪質業者の営業に著しい問題があるような時、消費者は信販会社と交渉したり訴訟を起こしたりすることができる。

 ただ、通常は、信販会社に未払い金の減額や免除を認めてもらうのが精いっぱい。既払い金の返還訴訟で消費者が勝った例はごく少ない。

 それでも弁護士らが既払い金の返還を追い求めるのは「悪質業者と手を組んで過剰与信した信販会社がきっちり責任を取るようにならないと、悪質商法の被害者が減らない」と考えるからだ。

 被害者やその代理人弁護士らは「信販会社は加盟店の管理を怠っている」「信販会社の過剰与信はひどい」と訴える。

 ただ「加盟店管理を怠ってはならない」「過剰与信をしてはならない」という罰則付きの規定は現行法にはない。既払い金返還の条文もない。

 こうした規定を法制化するよう日本弁護士連合会が提言。産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)割賦販売分科会で議論され始めている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20060420/ftu_____kur_____000.shtml