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2006年04月05日(水) 14時00分

しまね拡大鏡:過払い金返還訴訟 多重債務者救済、後押し /島根毎日新聞

 ◇任意でない超過利息は無効
 県内で消費者金融会社を相手に過払い金の返還を求める訴訟が相次いでいる。最高裁は今年1月、貸金を巡る訴訟で「グレーゾーン金利」といわれる利息の取り立ては任意性が疑わしい場合無効とする判決を下した。利息制限法の上限を超える金利にもかかわらず罰則がなかった「グレーゾーン金利」。最高裁の判決は、多重債務者救済に大きく踏み出したものだが、「自分が法的に支払う必要のないお金まで払わされている」と自覚している人はまだ少ない。【小坂剛志】
 ◇無料相談会
 毎週土曜日、松江市白潟本町のスティックビルで「少額事件無料法律相談会」が開かれている。主催しているのは、県内の司法書士で組織する「リーガルエイドしまね」だ。
 相談に来る人の多くは幅広い年代の多重債務者。リーガルエイドしまねによると、消費者金融で借金する理由で多いのは、30〜50代がリストラなどによる生活苦、20代はリストラ以外に出産を機に消費者金融に借金をするケースも多いという。「子どもを産むにも経済的基盤がない。だから消費者金融に手を出すのだが、高い金利のために抜け出せなくなり、苦しんでいる」とリーガルエイドしまねの余村博樹代表(37)。昨年の相談数約1600件のうち、約8割が消費者金融などへの多重債務の相談だったという。
 ◇61人が提訴
 先月10日、リーガルエイドしまねの司法書士を代理人にして、県内61人の債務者が東京や京都などの21消費者金融会社を相手に過払い金の返還訴訟を松江簡裁などに起こした。請求額は計約9500万円。訴状などによると、消費者金融会社は利息制限法を超えた金利を設け、債務者から法律上支払い義務のない金まで支払わせていたとしている。
 同様の訴訟で先日、約700万円の返還を勝ち取った50歳代の男性はリストラによる生活苦で、17年前から消費者金融に借金を繰り返し、返済に苦しんできた。過払い金が返ってきた後、男性は司法書士に「お金はいりません。取り立ての心配がなく、安心して眠れるだけで十分です」と話したという。
 ◇グレーゾーン
 余村代表は「多重債務者の多くは、利息の高さも知らないし、利息設定が違法であることも知らない。無料相談会や集団訴訟を通じ、この問題を世間の人に知らせたい」と話す。
 余村代表が言う「利息設定の違法性」とはどういうものか。これには利息制限法、出資法、貸金業規制法の三つの法律が関係している。
 利息制限法の上限金利は15〜20%。一方、貸金業規制法には、業者が一定の書面を交付し、借り手が強制でなく任意で払った利息は、出資法の上限(年29・2%)以下なら有効とみなす「みなし弁済」規定がある。この二つの上限金利間の利率が「グレーゾーン」呼ばれるものだ。
 ◇最高裁の判断
 「返済が滞れば一括弁済する」との特約がある場合、消費者金融などの業者が利息制限法の上限を超えた利息を受け取れるかどうかが争われた訴訟の最高裁判決が1月13日に言い渡された。
 判決では「特約は借り手に高利を事実上強制するもので、超過利息は受領できない」との初判断が示され、借り手側に有利な司法判断となった。「グレーゾーン金利」を債務者の任意ではなく強制と指摘した判決で、同種の特約が一般的な消費者金融業界に及ぼした影響は大きかった。
 ◇周知徹底を
 「私たちは多重債務者に立ち直ってもらうため無料相談会を開いている」と余村代表は話す。県内の景気が好転しない中、多重債務で苦しむ人は多い。法的に支払い義務のない借金に苦しむ多重債務者救済のため、いち早く「グレーゾーン金利」の周知徹底が求められている。
 リーガルエイドしまねの無料相談会は松江市のほか、浜田市の同市総合福祉センターでも開かれている。常設電話法律相談は、東部(090・9505・5463)、西部(090・7995・2654)。
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4月5日朝刊
(毎日新聞) - 4月5日14時0分更新

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