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2006年04月01日(土) 00時00分

役立ちマス ユビキタス読売新聞

街路灯から買い物情報 ICタグで子供を守る

ユビキタスを実践する塚本昌彦・神戸大教授

 「ユビキタス」という言葉をよく耳にする。もともとは「どこにでも存在する」という意味のラテン語で、いつでもどこでもコンピューターにつながっている状態を指すそうだ。どうやら子供の安全や商店街振興などにも役立つらしいが、どうもイメージが浮かばない。そこで、体を張ってユビキタスを実践している大学教授に会いに行った。

 塚本昌彦教授(41)(コンピューターシステム)が神戸大学の研究室で迎えてくれた。頭部に装着しているのは、SF映画に出てくるような「ヘッドマウントディスプレー」(HMD)。塚本教授は5年前から、「家を出てから帰るまでほとんどずっと」、HMDを着けっぱなしの生活を送っているのだそうだ。

 HMDは腰に着けた小型パソコンにつながっており、通勤電車の中でもメールを読んだりDVDを見たりできる。講義もHMDを着けたまま。食事中にも論文などのチェックをしているという。

 もちろん不便も多い。道行く人はじろじろ見るし、ショーパブでは「うちはカメラ禁止」と注意された。学生たちは一緒に歩くのを嫌がる。選挙演説に通りかかった際には、不審者として警官から職務質問されたこともあった。

 それでも塚本教授は、「ウエアラブル(装着できる)コンピューターは、ユビキタス社会に欠かせない道具」と強調し、「ウエアラブルの伝道師」を自任して各種イベントなどを飛び回っている。

 塚本教授が通う「しみず歯科医院」(大阪府高槻市)では、患者にHMDを装着する試みを始めた。自分の口の中の治療をリアルタイムで見る仕組みだ。

 「歯の治療はよく見えないため、何をされているのか分からないという不安感が多くの患者さんにある。これで“歯科恐怖”は軽減できる」と清水宏満院長(41)。実際、HMDをおもしろがり、診察台にすすんで上がるようになった子供もいるという。

 兵庫県加古川市にある保育園「チャイルドハート加古川駅前保育サロン」では、子どもたちの安全のためにユビキタスを役立てている。園児一人一人が服につけているのは、名前、住所、連絡先などの情報を収録したICタグ(電子荷札)だ。

 同園の園児は外部の人も出入り自由の広場で遊んでいるが、子どもが広場から出ると、広場のセンサーが反応、職員室のパソコン画面に並んだ子どもの名前がグレーからピンク色になって警報が響き渡る。

 同園を経営する木田聖子さん(44)は、「子どもの連れ去り事件が多発した時期に思いついた」と話す。

 全国の「○○銀座」の発祥の地といわれる東京・品川区の「戸越銀座」。この下町の商店街を「ユビキタス商店街」にしようという計画が進められている。

 中心となっているのは、戸越銀座に暮らす明治大大学院生半田正浩さん(27)が率いるベンチャー企業。同居の祖父があまり商店街に行かなくなり、通信販売で済ますようになったことから、「便利になれば、お年寄りが商店街に戻るのでは」と考えた。

 計画では、商店街に並ぶ108本の街路灯を、防犯カメラや無線受発信機のほか、文字や絵などを表示する「電子ペーパー」を搭載した「マルチメディア街路灯」に変身させる。

 商店主は携帯電話から、特売や割引クーポンなどの情報を電子ペーパーに送信。これを見た客が携帯電話を街路灯にかざせば、さらに詳しい情報を取り込める。戸越銀座では、2008年度中に一部サービスをスタートさせる計画だ。

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