悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年03月25日(土) 10時56分

<酒店経営者>断酒会の会長に 全国でも稀有 東京・江東毎日新聞

 東京都江東区北砂で酒店を営む高田正夫さん(62)が、アルコール依存症から脱出を図る人たちで作る江東断酒会(江東区、約70人)の会長に4月に就任する。30代で依存症になったが、目の前に酒がある環境で27年間一滴も口にせず頑張る姿が仲間に評価された。全日本断酒連盟(約1万2000人)によると、全国約700の地域断酒会でもほとんど例がないという。
 26歳で酒店を開業し、仕事の疲れを癒やすのに酒を飲んだ。「いつでもタダで飲める」酒に囲まれ、いつの間にか酒に飲まれていった。35歳の時、都内のアルコール病棟に入院。3カ月後に退院したが、帰った家は酒屋なので酒のにおいが満ちていた。数日後にはウイスキーの瓶を連日空ける生活に逆戻り。「飲むなら飲め」と妻から瓶を投げつけられた。「どれだけ家族に迷惑をかけていたか気づいた」
 どん底からはい上がるのは容易ではなかった。「夜、家にいると飲んでしまいそうで」都内各地で連日開かれる断酒会に通い詰めた。1カ月に25日出席したこともある。仲間と悩みを語りあううちに、自分が生き生きとしてくる気がした。
 酒を売ることが後ろめたく感じることもあった。だが店はやめられない。「悪いのは酒ではなく、おれなんだ」と自分に言い聞かせた。新商品の試飲会には抗酒剤を飲んで出掛け、味をみてはそっとはき出し、うがいを繰り返した。「決闘に行くようなものだった」
 同業の依存症患者を断酒会に誘ったこともある。そんな苦労を目にした地元・江東断酒会会長の芝本和夫さん(72)は、後継者として迷わず高田さんを指名した。「なかなかやめられない人が多い中、酒を目の前にしてやめているのはすごい。人を説得できるだけのものがある」と話す。
 会長は、苦しむ仲間の相談に乗り、励ます重責だ。しかも江東は都内24地域断酒会で最大の会員がいる。高田さんは「落後する人が出ないように一心をささげたい」と目を輝かせる。【青島顕】
(毎日新聞) - 3月25日10時56分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060325-00000026-mai-soci