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2006年03月24日(金) 00時00分

PSEマーク 実施は延期し抜本策を 東京新聞

 中古家電製品につけるPSEマークをめぐる混乱は、経済産業省の詰めの甘さと場当たり的対応が原因だ。四月一日に迫った新制度の実施は当分の間、延期して、抜本策を考える必要がある。

 問題のPSEマークは、二〇〇一年四月の電気用品安全法の施行に伴って、漏電など安全性に問題がないことが検査で確認された電気用品に表示が義務付けられた。

 新製品には輸入品も含めて、すでに「PSE」と書かれた小さなマークがついているが、問題は中古品の扱いだ。テレビや冷蔵庫、洗濯機など身近な生活用品二百五十九品目は四月一日からマークがなければ販売できなくなる。

 折から入学、就職シーズンだ。「家電は中古品で」と思っていた人も多いだろう。販売業者だけでなく、消費者にも大きな打撃である。なぜ、こんなことになったのか。

 電気用品の安全確保は重要だが、法律が中古家電の流通にも影響を与えることを十分に考慮していなかったためだ。制度を設計した経産省の手抜かりはもちろん、法を通した国会にも責任がある。

 マーク表示を義務付ける制度の適用は品目ごとに五年、七年、十年の猶予期間が設けられていたが、消費者や中古家電販売業者への周知が徹底していなかった。ことしになって、事態を知った業者らが「これでは商売ができなくなる。死活問題だ」と、中古品の除外あるいは適用延期を求めて署名運動を始めた。

 問題が判明した後の対応も、お粗末だった。古い楽器の中にはビンテージと呼ばれる名器があり、坂本龍一さんら著名音楽家が反対し騒ぎが広がると、急きょ楽器類などの除外を決めた。実施直前の方針変更が泥縄対応であることを物語る。

 先週になって、経産省は全国五百カ所に検査所を設けることや、自主検査する販売事業者には必要な機器を無料貸し出しするなどの対応策を決めた。また、要請に応じて電気保安協会などが六カ月間、無料の出張検査サービスもする。

 それでも流通市場にある中古家電をすべて検査するには、時間が足りないのは明らかだ。業者の手間やコストもかかる。「対応が間に合わない」とあきらめ、すでに在庫を投げ売りし、損失を抱えた業者もいる、という。

 プロの音楽家や一部の愛好家が求めるビンテージ楽器が除外され、普通の消費者が求める生活必需品が買えないのも、納得がいかない。資源を生かすリサイクルの視点からも、ここは実施を延期し、あらためて無理のない制度を考えるべきだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20060324/col_____sha_____003.shtml