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2006年03月07日(火) 00時00分

「ネット流出」事件を教訓に読売新聞

 海上自衛隊、裁判所、刑務所、警察署、消防本部、NTT……。相次ぐネット上への情報漏えい事件。そのすべてがファイル交換ソフト、ウィニーがウイルスに感染した結果だとされる。感染すると、交換した音楽などのファイル以外の個人ファイルまでが勝手にネット上に流れ出てくるのだが、どうして集中豪雨的に明るみに出ているのか。

 関係者の話を総合すると、昨年春に発足した政府の内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)の存在が大きいらしい。

 NISCは6年前の省庁ホームページ改ざん事件をきっかけに生まれた組織。まだ総勢50人程度に過ぎないが、9人が「事案対処支援チーム」に属し、政府機関などのサイトに脅威が及ばないよう任にあたっているという。例えば先日の「竹島の日」に外部からの攻撃に備えるという風に。その過程で、公文書などの流出も網に掛かるということのようだ。

 流出が次々とNISCから所管官庁に通告されるようになったのは昨年末ごろからとされ、「スタート半年余りで、チームの力量が向上した」と見る関係者もいる。それはそれで喜ばしいが、一方で何百万人もいるだろうウィニー利用者が安易に対処している限り、流出はやまないし、チームも対処しきれないだろう。

 流出事件では、ウイルス対策ソフトが最新版だったかどうかが疑われるが、厄介なのは、仮に毎日、更新していても万全ではないことだ。対策ソフト大手のトレンドマイクロによると、「対策を立てるには新ウイルスのサンプルが必要で、入手し、ソフトを更新するまで数日から1週間の空白が生ずる」から、100%の安全などないのだ。同社の無料オンラインスキャンでは、2年半で5万台もがウィニー関連ウイルスに感染していることが判明したという事実もある。

 そう考えれば、ウィニーを入れたパソコンに公的な重要情報を入れるなんてもっての外としか言いようがない。一連の報道が利用者の教訓になればいいが。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20060307nt07.htm