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2006年02月25日(土) 00時00分

【賃貸事情】〈4〉入退居時 写真撮ろう読売新聞


東京司法書士会総合相談センターでは、敷金返還トラブルの相談を受けている。「敷金は返ってくるという意識を消費者が持つようになってきた」と話す野中さん(右)

 賃貸マンションを退居した際、「壁紙の張り替えで高額な料金を請求され、敷金で精算された」など、敷金返還を巡るトラブルが後を絶たない。

 退居時には部屋を清掃し、写真を撮影して証拠を残しておくことを専門家はアドバイスする。

 「部屋のクリーニング代、壁紙の張り替えなどで約11万円を請求され、敷金で精算されたのは納得いかない」

 東京都消費生活総合センターに寄せられた20代の男性からの相談だ。賃貸マンションやアパートを退居する際の敷金の返還をめぐるトラブルが増えている。国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は2000年度には約1万件だったが、04年度は約1万4000件に増えた。

 敷金は家賃の滞納などに備え、家主が借り主から預かる金銭で、部屋を出るときは原則として借り主に戻る。国土交通省のガイドラインでは普通に暮らしていて生じる汚れや傷(通常損耗)、建物が古くなってできた傷みの修繕費用は、家賃に含まれるとの考えを示している。一方、たばこで焦がした跡など故意や過失による損耗の修繕費は借り主が負担する。

 東京司法書士会の理事、野中政志さんは「実際の部屋の汚れや傷み具合が通常損耗と言えるかどうか、借り主と家主との見解の相違が、敷金返還トラブルの原因の一つ」と指摘する。

 退居して敷金の精算をするころには、部屋の修繕が済んでいたり、次の入居者が住んでいたりして、部屋の状況を改めて確認することが難しいことが多い。そのため、引っ越しのとき荷物がなくなった後にきれいに掃除をし、写真を撮っておくことを勧める。

 「壁やふすま、畳、床、台所、バスルームなどをそれぞれ撮っておけば、『通常では考えられないほど汚れていた』という家主側に反論する証拠になります。理想を言えば、入居時にも部屋の写真を撮っておくといいでしょう」

 また、敷金精算の際には、見積もりや明細書をもらう。「ルームクリーニング一式」などと大雑把な内容であれば、「台所清掃費用」「壁紙張り替え○平方メートル」など、費用の細目がわかるように説明を求める。ガイドラインを参考に、細目の中に借り主として払う必要のない費用が含まれていないか検討する。

 自治体の消費生活センターや各地の司法書士会などに相談するのも有効だ。東京司法書士会では都内3か所の総合相談センターで面接による無料相談を実施しているほか、4月には敷金問題の相談会を予定している。

 家主側との話し合いがこじれた場合、裁判で決着を図る方法もある。「自分で簡易裁判所に少額訴訟を起こすことも手段の一つ。その際も部屋の写真があれば審理に役立ちます」と野中さんは話す。

 少額訴訟 60万円以下の支払いを求める訴えについて、原則1回の審理で紛争を解決する。敷金返還請求をするための訴状の見本は、最高裁判所のホームページや簡易裁判所で紹介されている。請求額10万円ごとに1000円の収入印紙が必要だ。

http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20060225hg01.htm