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2006年02月22日(水) 00時00分

[解説]「アガリクス」で発がん促進読売新聞

健康食品の安全情報を消費者に

 厚生労働省は、キノコの一種「アガリクス」の健康食品について、一部の製品に発がん促進作用が確認されたと発表した。(医療情報部 中島久美子)

 アガリクスは「抗がん効果がある」などとして、粉末やカプセルの加工品が数多く出回り、がん患者の4人に1人が使っているとの調査もある。ところが、同省が3種類のアガリクス製品について、試験管や動物で安全性を調べる実験を行った結果、実験が終了した1製品に、発がん促進作用があることがわかった。人体でも同様の作用があるかどうか不明だが、同省は健康被害を未然に防ぐため、製品の自主回収を要請、メーカーもこれを受け入れた。

 アガリクスに限らず、健康増進や抗がん効果をうたった健康食品は多いが、人間に使って有効性を調べた信頼できるデータは乏しい。発がんなどに関する動物実験データが学会や医学誌で報告されても、人への害が検証されることは少ない。有効性や安全性があやふやなまま使われていることが多いのが実情だ。

 これは、健康食品を製造、販売する際の規制が、原則として食品一般と同じで、医薬品のように厳密に効果や副作用を調べる臨床試験が必要ないためだ。安全性データの提出義務や、食中毒以外では健康被害を疑われる例があっても国に報告する義務もない。

 だが、多くの健康食品は特定の成分が凝縮されており、過剰摂取で健康被害が生じたり、通常の食材では微量しか含まれない毒性物質を大量に摂取したりする恐れもある。

 そこで同省は昨年、錠剤やカプセル状の食品について、安全性に関するメーカーの自主点検指針を作成した。研究データ収集のほか、日本で食習慣のない成分を使ったり、特定の成分を濃縮したりする場合、毒性試験を行うとしている。ただ、メーカーの自主性に委ねられ、実際にどれほど実施されているか不明だ。

 アガリクスの場合、製品を使ったがん患者らが肝臓障害で死亡した例や、発がん作用を示す動物実験結果も過去の学会で報告されているが、こうした健康食品のマイナス情報は利用者に伝わりにくい。

 有効性や安全性を客観的に検証する第三者機関や、その情報を消費者にわかりやすく伝える仕組みが求められる。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060222ik07.htm