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2006年02月21日(火) 00時00分

新聞代が“タダ”になる日読売新聞

 最近、海外に出かけ航空会社のマイレージポイントが少し増えた。得した気分になったのだが、付与した航空会社も同様に得をしているという。なぜか。

 マイレージの発行は、顧客の囲い込みであるのは当然だが、いまどきは、普段の買い物でもマイレージが獲得できる。野村総研によると、お店が客に付与するマイレージは航空会社から1マイルにつき3円ほどで買っている。航空会社の発行コストは1円以下。その差額が航空会社の利益になる。マイレージをためた客を無料で乗せても、空席を埋めるだけだから、ほとんど輸送コストには関係ない。つまり、マイレージがはやるだけ、利益は拡大する。

 一方、マイレージ加盟店も、マイレージ購入にあてるお金は、基本的に従来の広告費や販売促進費の枠内で支出するので、出費が増えるわけではない。それでマイレージ目当ての固定客が増えれば万々歳だ。

 かくて、個人、航空会社、加盟店の三者に限れば“三方一両得”の関係が成立する。家電量販店などで発行するポイントも同じような関係だ。こうしたマイレージやポイントを総称して「企業通貨」と呼ぶが、その発行総額は年間2200億円を超えるという。こんな膨大なバーチャル通貨が管理できるのもコンピューターと通信ネットワークのおかげと言えるだろう。

 この手のサービスでは常に先を行く米国では、なんと新聞業界まで追随した。ニューヨーク・タイムズ社はこのほど、「タイムズポインツ」なる企業通貨の発行に踏み切ったのだ。レストラン、ホテル、オンラインショッピングなどでポイントをためれば、月ぎめ購読料の支払いなどに充てられるという。読者は実質タダで配達してもらえる可能性がある。飛行機と違って印刷代や配達費が余分に掛かるが、同社のロビンソン社長は「コストはほとんどゼロで固定客を大事に出来る」と説明する。おそらくはマイレージと同じからくりがあるのだろう。

 新聞代はタダの時代が垣間見える。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20060221nt04.htm