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2006年02月21日(火) 13時44分

動揺→逃避願望→奇行、松本鑑定の全容が明らかに読売新聞

 オウム真理教の松本智津夫被告(50)(1審・死刑)について実施された精神科医・西山詮医師の鑑定書の全容が21日、明らかになった。

 東京高裁に提出された鑑定書を同被告の弁護人が公開した。西山鑑定は、松本被告の言動から、精神状況を3期に分けて詳細に検討。幹部被告の「裏切り」で激しく動揺した後、裁判からの逃避願望から空想話や奇行を繰り返し、最終的に沈黙に至ったとし、「訴訟能力はある」と結論づけている。

 ◆動揺◆

 鑑定によると、松本被告に変化が生じたのは1996年10月の教団元幹部・井上嘉浩被告(36)(2審・死刑、上告中)の証人尋問。松本被告は、自分に不利な証言をする井上被告への尋問を中止させようとしたが失敗。この日、拘置所に戻った松本被告は、「おれの弟子は……」と泣き叫び、「くそー」と叫びながらチーズを独房内の壁に投げつけ、朝まで弟子の名前を挙げる独り言が断続的に続いた。

 西山鑑定は、「裁判上の危機に直面して現れた興奮状態」と指摘。「精神病的要素はなく、強い幻滅や怒りによるもので、利害を熟慮している」と判断した。

 ◆空想と作話◆

 動揺期を経た松本被告は97年3月ごろから、空想話をしたり、独り言を繰り返したりするようになった。拘置所職員に「私の人生に幕を閉じたい。青酸カリを下さい」「心臓が止まっています。止まっていても生きているんです」などと語り、手づかみで食事をしたり、尿を飲んだりする奇行もあった。

 西山鑑定は、「自分の公判では不規則発言を繰り返すが、元弟子の公判での証言は多弁。立場によって使い分けている」と指摘し、空想話や独り言は、精神病の兆候である妄想ではないと判断した。

 ◆沈黙◆

 97年7月以降は、独房内での独り言以外には、ほとんど言葉を発しなくなり、01年3月からは失禁でオムツを常用するようになった。それでも04年2月27日、東京地裁で死刑判決を言い渡された日には、拘置所に帰った後、「なぜなんだ、ちくしょう」と叫んだり、夜間に布団の中で「うん、うん」とうなったり、笑い声を発したりした。

 また、04年10月の運動中には、野球の投球動作を3回行い、「甲子園の優勝投手だ」と話した。

 西山鑑定は最近の松本被告について、会話などは自発的に行うことはないのに、食事などは介助をほとんど受けず自分でしていることに着目。「意思発動に偏りがあるのは不自然で、沈黙は裁判からの逃避願望で説明できる。黙秘で戦うのが96年以降の被告の決心」と結論づけた。

          ◇

 松本被告の弁護人は21日、弁護側の依頼で松本被告に面会した複数の精神科医らに鑑定書の検討を依頼したうえで、西山鑑定に反論する意見書をまとめる方針を明らかにした。東京高裁は意見書の提出期限を3月15日までとしている。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4900/news/20060221it04.htm