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2006年02月04日(土) 00時00分

強い味方? 100円玉読売新聞

居酒屋…ドリンク・つまみ全品1枚で
遊戯施設…釣り堀、ダーツ、ビリヤードも

 「100円玉」が買い物や娯楽の世界で幅を利かせている。すっかり定着した100円ショップに加え、居酒屋や美容院、遊戯施設でも「100円均一」で楽しめる店が続々と出現。庶民のサイフのヒモも緩みそう——?


ドリンク、フードがすべて100円の居酒屋「100ダイニング神田店」

 夜7時。東京・神田の酒場はサラリーマンらでごった返していた。

 「生ビール一つ」とカウンターで千円札を出した客に、店員は「あちらの機械で両替を」。客は「ゲームセンターみたい」と笑って両替し、改めて100円玉1枚を店員に渡した。

 飲み物もつまみもすべて100円。昨年9月に開店した「100ダイニング神田店」だ。飲み物はチューハイ、カクテルなど約25種類、つまみも、おでんや枝豆、刺し身など30〜40品。横浜市の会社員高島弘次さん(62)は「文字通り『ちょっと一杯』に最適」と赤い顔で話した。

 同店を経営する「ユナイテッド・プラチナム・ダイニング」(東京都千代田区)の田中結香さん(29)は「100円玉にこだわりました。お釣りは出していません」と話す。

 同社は、投資会社から昨年11月に飲食部門が独立した企業。酒場は「100円ショップが栄えるなら、100円居酒屋も当たるはず」という発想で出来た。

 客1人の平均出費額は約1000円だという。ちょうど千円札1枚を両替し、使い切る計算だ。

 もうけるための課題はコスト削減。古い付き合いの卸業者に「将来、店舗数を増やして仕入れ量を増やすから」と頼み込んで仕入れ値を抑え、原価は3割に抑える。客の回転率を上げるため、イスを取り払って立ち飲み形式にした。田中さんは「直営店を10店舗まで増やす予定」と語る。


ダーツを楽しむ客(「ユーエスマート銀座店」で)

 東京・銀座に昨年7月、100円で楽しめる地上6階地下1階のアミューズメント施設が登場した。「百円コンビニユーエスマート」(三重県松阪市)の銀座店。

 1階は生活雑貨や食料品を扱う100円均一のコンビニエンスストア、2階に1分100円の美容院。遊びも15分100円が基本で、釣り堀、インターネットカフェ、ダーツ、ビリヤードなどを楽しめる。いずれも税別。

 施設内のコンビニでお菓子を買い込み、釣りを楽しんだ東京都大田区の会社員村井滋さん(51)と長男の牧君(11)。釣り堀利用料、釣りざおの借り賃を含めても出費は、2人で2000円ちょっとだった。村井さんは「安くていいね。100円で利益が出るのかな」と不思議そうに話す。

 同店によると、ビル全体を少人数の従業員が横断的に担当することで人件費を抑えている。24時間営業で、銀座の一等地のため深夜も客足が絶えず、オープン当初から売り上げは順調だ。同様のビルをさらに増やす計画という。

 一方、ハンバーガー業界では「100円サービス」はすでに常識だ。日本マクドナルドは、昨年4月からハンバーガーやドリンク(Sサイズ)などの主力商品を税込み100円に。単価を下げたため劇的な売り上げ増とはいかないが、「客数は増えている」という。日本ウェンディーズも04年10月から税込み105円としている。

 おなじみのコンビニも負けていない。

 ローソンは昨年5月下旬、生鮮野菜や果物を税込み105円で売る「ストア100」の1号店を東京・練馬にオープン。1月31日に大田区に18店目を開いた。

 「九九プラス」は税別99円の生鮮野菜などを扱う「ショップ99」を全国展開。売上高は2年間で倍以上となった。

 100円商法全盛の時代。東大教授の松原隆一郎さん(49)(社会経済学)はこう分析する。「コンビニに慣れた消費者が、便利さに加えて『安さ』を追求した結果。切りのいい『100円』は、それを実感できる象徴的な金額だ」

 その一方で、既存店舗については「多様な100円ショップの出現で、値段が割高で品ぞろえが不十分な従来の店は、ますます太刀打ちできなくなる」と、昔ながらの小売店の衰退を心配している。

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