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2006年01月28日(土) 00時00分

ホリエモン 関係ないもん読売新聞

冠グッズ ジーンズ ドリンク ロールケーキ…
“撤退”急ピッチ

堀江容疑者の名前や写真を使ったグッズと書籍の数々(一部は「ライブドアデパート」のサイトから)

 栄養ドリンクや書籍、アクセサリーから「いも煮鍋セット」まで、ライブドア前社長の堀江貴文容疑者(33)の名前を冠した「ホリエモングッズ」。会社の急成長と比例するかのように数を増やしてきたグッズだが、いま、急速な“堀江離れ”が起きている。店頭から商品を撤去したり、製造を見合わせたり……。これまで時代の寵児(ちょうじ)を利用してきた企業側は敏感に反応している。

 数々の「ホリエモングッズ」をインターネット上で販売してきた「ライブドアデパート」。堀江容疑者が23日に逮捕された直後から、「想定外の仕事に」のキャッチコピーの栄養ドリンク「ホリエナジー」やサプリメントなど、「ホリエモングッズ」の一部がサイト上から姿を消した。

 これらの商品は、同社が企画して業者と共同開発し、ネット上でまとめて紹介するコーナーを設けて販売してきた。露出度を増やして知名度を上げ、自社のブランド力を高めることに役立ててきたが、そんな狙いが事件で崩れた。

 同社幹部は「新体制で業務にあたることを広く知ってもらうための措置」と説明。ジーンズなど関連グッズの一部は各テナントによって販売されているものの、「堀江前社長のキャラクターを前面に出した販売方法については自粛することにした」と、堀江色の一掃に躍起だ。

 ただ、同デパートへのアクセス数は、事件発覚後にむしろ増加傾向という。

 洋菓子「ホリエモン特製『ラ・フランスロール』」を近くネット販売する予定だった山形市の老舗菓子店「長榮堂」は現在、製造を見合わせている。長谷川浩一郎常務は「事件後、ライブドア側から連絡がない。製造しても、代金をちゃんと支払ってもらえるのか心配」と困惑する。

 「ラ・フランスロール」を含め、ライブドアが企画したグッズの開発・販売にかかわった企業は、事件の「余波」に神経をとがらせる。

 関東地方の約1000店舗で栄養ドリンク「ホリエナジー」を販売していたコンビニエンスストアの「エーエム・ピーエム・ジャパン」は23日夜、各店舗に撤去を指示した。

 昨年10月に販売を始めた当初は、「他の栄養ドリンクの2、3倍の売れ行きだった」(広報担当者)が、その後、売り上げは次第に減少。今月いっぱいで販売終了の予定を繰り上げ、事件を機に販売中止に踏み切った。

 大手おもちゃメーカーのタカラ(東京都葛飾区)が、M&A(企業の合併・買収)を題材に作った「人生ゲーム M&A」はすでに約10万個を販売。10億円を元手に企業買収などを繰り返し、企業価値を高める——というゲームで、対象年齢は15歳以上。堀江容疑者ら150人を超す起業家や経済専門家のアドバイスを受けて制作、ケース箱の裏には、堀江容疑者の顔写真がひときわ大きく掲載されている。

 同社の広報担当者は「今のところ撤去は考えていない。堀江前社長が監修したわけではなく、あくまでアドバイスを受けた起業家の一人」と強調する。

 商魂たくましいのがJR東京駅前の八重洲ブックセンター本店(中央区八重洲)だ。ライブドアに対する強制捜査後の18日、堀江容疑者の著作や企業買収関連本など約30冊を集めた「ライブドアコーナー」を設置した。「話題のテーマだからコーナーにしてみた」と売り場の担当者。ただし、売り上げは今ひとつとか。

 消費者側は今のところ比較的、冷静に受け止めている。「人生ゲーム M&A」の限定版「ライブドアバージョン」を昨年購入したという広島県福山市の主婦(43)は、「ゲームのおかげで高校生の娘が模擬試験で『M&A』の意味を問う問題に正解した。ゲームと事件は関係ない。かえって良い記念になる」と喜ぶ。

 また、「人生ゲーム M&A」を社内の若手社員研修に活用しているという、上場の電気機器メーカー。担当者は「事件もホリエモンも関係ない。社員が会社経営を勉強する上で役に立つので、今後も若手の研修に使い続けることを検討しています」と、どこ吹く風だ。

消費者はクリーンさ求める

 経済評論家の竹内宏氏は「ライブドアの平松庚三(こうぞう)新社長が、堀江前社長の復活を否定するのは、株価や企業の評価を元に戻すため。ライブドアデパートがグッズの販売を自粛したのも同じ考えからだろう。冷酷に見えるが、会社の再生のためにはやむを得ない。現代の消費者は、メーカーや小売店にクリーンさを求めている。企業の変わり身の早さは、こうした心情を反映したもの。企業とは、こういう場面では冷酷になるものだ」と話している。

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