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2006年01月24日(火) 00時00分

ネット電話の悪用防げ読売新聞

 過日の仙台乳児誘拐事件、公衆電話から携帯電話などにかかってきた脅迫電話の「逆探知」が犯人逮捕につながったと報じられた。

 年配の読者の方々は黒澤明監督の「天国と地獄」で、刑事が「逆探知」のために、通話時間を引き延ばすように必死に促している場面を思い起こされたかも知れないが、今は違う。

 電話網はすべてデジタル化されており、公衆電話にも番号があるので、かけた先の携帯の画面に発信元が「コウシュウ」としか出なくても、NTTではどの場所の公衆電話からの通話かは瞬時に分かるのである。

 携帯電話を使えば、持ち主が特定されることは過去の犯罪事例で常識になったので、犯人は公衆電話を使ったのだろうが、とんだ思い違いだったわけだ。

 脅迫にはどんな電話であれ、もう使えないという教訓になったとすれば不幸中の幸いと言えるが、実は困ったことがある。

 もし犯人がいま話題のスカイプというネット電話を使っていれば、誰がどこからかけてきたかの特定は困難を極めたはずなのだ。

 通常のネット電話はパソコン同士でしか使えないが、スカイプは世界中の固定電話にも格安でかけられ、携帯にも可能だ。そのソフトは2億回もダウンロードされ、常時500万人が接続しているほど普及している。

 発信元には番号がないから逆探知は不可能。発信元を後で追跡するには、ルクセンブルクにあるスカイプ本社に課金記録を問い合わせる手があるが、関係者によると「誰がどこにかけたかの細かな通信履歴を取っているかは疑問」という。事前に購入したクーポンから少額を引き落とす単純なシステムなのでその必要もないからだ。そうだと発信元の特定はほぼ不可能。

 まして、昨今はネット上やイベントなどで販促用に無料通話権が配られている。これを活用すれば100%お手上げだ。街角の無線LANから使える携帯端末型も登場している。犯罪者の行動範囲は広がる。世界中の当局の考え時だ。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20060124nt07.htm