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2006年01月21日(土) 00時00分

風呂敷 環境も包み込む?読売新聞

「おしゃれで実用的」 人気ジワリ

講師がやってみせる風呂敷の包み方に真剣なまなざしを向ける講習会の参加者(東京・原宿「むす美」で)

 「包んで持ち運ぶ」といった本来の機能に加え、インテリア、ファッションにと、風呂敷がじわり浸透している。何度でも使えてゴミの削減にもつながることから、環境省もトップを先頭にPRに力を入れ始めた。今年は風呂敷人気が大ブレークするかも——。

 東京・原宿に昨年2月にオープンした風呂敷専門店「むす美(び)」。今月15日の日曜日、風呂敷の講習会が開かれ、20〜40歳代の女性7人が集まった。

 贈答用菓子折りの基本的な包み方から、ワインボトル、スイカの包み方、ティッシュ箱のラッピング……。「やり直しできるところが紙と違うところ。気が済むまで何度でもやってみてください」。女性講師の説明を受けながら、みっちりと2時間。完成した時は、「できたー」「わー、スゴイ」と歓声が上がった。

 参加した横浜市のOL岡村麻弥さん(22)は、昨年秋から風呂敷を愛用する。毎日、風呂敷で弁当箱を包み、通勤バッグにもう1枚忍ばせる。買い物袋代わりにしたり、会社内でひざ掛けにしたり。自宅では、インテリアを兼ねてパソコンのプリンターのほこりよけにも活用する。「地味でおしゃれとはほど遠い」と思っていたが、今では「おしゃれでかわいらしい」と感じている。

 同店を経営するのは、老舗の風呂敷製造会社「山田繊維」(本社・京都市)。東京・人形町にあった営業所を移転する際、若者の街に進出した。なじみがない世代にも風呂敷の良さを知ってほしいとの願いはあったが、勝算があったわけではない。それが今では、客が途切れることなくにぎわう。北海道や九州から訪れる人もいる。

 アートディレクターの山田悦子さん(41)は「こんなに人気があったのかと驚いています」。綿や絹、化学繊維などの生地や大きさにより、価格は500〜2万5000円。二巾(ふたはば)(約68センチ)サイズで1500〜3000円のものがよく売れるという。

 新宿タカシマヤ(渋谷区)には、スヌーピーなど人気キャラクターや浮世絵の図柄、ファッションデザイナーが手がけたものなど700種類の風呂敷が並ぶ。客層は40〜50歳代の女性が中心。昨年7月から、毎月前年を20%ほど上回る売り上げだ。売り場責任者は「特に宣伝を強めたわけではなく、気が付けば人気が出ていた」と首をかしげる。

 日本風呂敷協会の久保村正高事務局長(61)によると、風呂敷のルーツとされる布が日本史に登場するのは奈良時代。752年、奈良・東大寺の大仏開眼供養の際、披露された伎楽(ぎがく)の衣装を包んだ布が正倉院に収蔵されている。「風呂敷」と呼ばれるようになったのは室町時代。3代将軍足利義満が建てた大湯殿に招かれた大名たちが、脱いだ衣服を家紋入りの布に包んで、他人のものと区別するのに使ったことが由来という。

 風呂敷の需要は1970年代初めをピークに、百貨店などで買い物バッグが使われるようになって激減。結婚式の引き出物などを除き、日常生活からほとんど姿を消してしまった。

 久保村事務局長は「使って初めて良さが分かるのが風呂敷。多くの人に、まず使うことから始めてほしい」と呼びかけている。

新しい女性像提案 小池環境相

オリジナルの風呂敷を手に、魅力を語る小池環境相

 風呂敷をスカーフとして使い、コンビニに寄ったらさっと取って品物を包んで帰る——。ファッション性、実用性、そして環境対策。小池百合子環境相が期待する、新しい女性像だ。

 小池環境相は昨年12月、ペットボトルの再生繊維を使い、江戸時代の画家、伊藤若冲(じゃくちゅう)の花鳥図をあしらったオリジナルの「もったいないふろしき」をつくった。本人はスカーフとしても使い、省内で風呂敷を使うよう指示している。

 今月5日には、日本橋三越本店(中央区)で開かれた風呂敷のイベントにも出席。ワインボトルを風呂敷で包んで見せ、日常生活で風呂敷を使えば、レジ袋や紙袋の使用を減らせると買い物客に訴えた。

 「風呂敷を持っていると格好いいというムーブメントを起こしたい」と小池環境相。トリノ冬季五輪、サッカーのワールドカップなど、今年はスポーツのビッグイベントが目白押し。「スキーの板は無理かもしれませんが、サッカーボールもスケートシューズも包めます」と、普及に向けてトップアスリートに協力してもらおうと考えている。

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