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2006年01月18日(水) 00時00分

(上)市場ルール逸脱にメス読売新聞


堀江社長と宮内取締役(右端)は、二人三脚で企業買収を進め、ライブドアを急成長させてきた(2004年6月、近鉄球団の買収を表明した会見で)

 特捜部と証券監視委は、ライブドアグループに電撃的に切り込んだ。投資家を軽んじたマネー至上主義の実態はどこまで解明されるのか。強制捜査の波紋を追った。

 “勝ち組”の象徴、東京都港区の六本木ヒルズ森タワー。17日朝、記者会見のため38階に姿を現したライブドアの堀江貴文社長(33)には、ニッポン放送株を巡るフジテレビとの攻防で見せた強気の姿勢は微塵(みじん)もなかった。

 子会社(当時)の企業買収に伴う証券取引法違反事件。東京地検特捜部と証券取引等監視委員会の捜索から解放された直後だった。記者の質問に「調査中」を繰り返した堀江社長は、M&A(企業の買収・合併)の責任者を聞かれ、1人の名前を口にした。

 宮内亮治取締役(38)。ライブドアのナンバー2とされる人物だ。宮内取締役は横浜の商業高校を卒業し、税理士となった。堀江社長とは創業時からの仲で、企業買収に手腕を発揮。2004年には約15社の買収を手がけた。関係者は「宮内さんが利益の大半を生み出していた」と指摘する。

 堀江社長は即断即決を求めた。元社員は「『安く早く利益が上がるものを』が社長の考え。すぐに結果が求められた」と明かした。

 社長の要求に応え、猛烈な勢いでM&Aをまとめ上げる側近中の側近——。

 堀江社長は近著「世界一になるキャッシュフロー経営」で、「宮内は僕の一番の理解者」と書いた。2人は、ライブドアを目標の「時価総額世界一」に導こうとしていた。そこに立ちはだかったのが特捜部だった。

 「ライブドアの企業買収に不審な点がある」。特捜部は昨年、ひそかに捜査を始めた。

 株式交換によるM&A自体は違法ではない。しかし、投資事業組合が絡む複雑な現金や株の流れを追うと、バリュー社を舞台にした不正が見えてきた。

 特捜部にとって、大手IT企業への捜査は初めての経験。ライブドアは社内の連絡に電子メールを使っていた。「電子データを消去するのは簡単。少しでも捜査の動きを察知されれば、証拠隠滅される」(検察幹部)。捜査はライブドアに近い関係者の事情聴取を避け、慎重に進められた。

 特捜部が、ライブドアグループに切り込む決断をしたのはなぜか。

 検察幹部には近年、「事前規制型から事後チェック型に転換しつつある社会では、検察が市場ルールの監視役を果たす必要がある」との認識がある。

 昨年、ライブドア側が東京証券取引所の時間外取引を利用してニッポン放送株を大量取得したように、堀江社長の拡大戦略には、法の抜け穴を突く意識が透けて見える。「市場ルールの逸脱を処罰しなければ、ますます違法行為に走り、利益を得る」。特捜部が捜査に乗り出した背景には、こうした問題意識があった。

 堀江社長は捜査について、自社のパブリック・ジャーナリストに、「時間外取引でも脱法と言われたし、(法律)すれすれのことはやっている。解釈次第なので、こちらはこちらで主張する」などと答えている。

 特捜部の視野には当然、堀江社長、宮内取締役の2人も入る。強制捜査にGOサインを与えた検察幹部は17日、「すべての事件が解明されれば、我々の意図も見えるだろう」と語った。

特集:ライブドア

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20060118nt01.htm