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2006年01月17日(火) 00時00分

IT格差改善に100ドルPC読売新聞

 「世界がもし100人の村だったら」を覚えておられるだろうか。2001年春にネットで広がり、その後、ベストセラー本にもなった話である。ほんの一部を抜粋すると〈6人が世界の富の59%を所有〉〈80人は標準以下の居住環境に住み、70人は文字が読めない〉〈たった1人だけがコンピューターを持っている〉などとあった。

 これが最初に書かれたのは1992年のこと。その後にネットの爆発があり、著名なITアナリスト、メアリー・ミーカー氏によれば、世界のネット人口は10億人に達したというから、〈コンピューターを持つ人は10人〉くらいになっているかもしれない。

 だが、世界銀行などの統計を見ると、十数年前と同様、生活環境に恵まれず、コンピューターなど夢のまた夢という国は少なくない。先進国とのデジタル・ディバイドはさらなる格差を生じる源になっている。

 その改善に立ち上がったのが米マサチューセッツ工科大メディアラボのニコラス・ネグロポンテ所長を中心とする100ドルパソコンプロジェクトだ。無線LAN接続が出来、電気がないところでも使えるようにクランクを回して充電する機能を持たせる。これを恵まれない国の子供に1台ずつ配ろうというのだ。

 昨年末、台湾メーカーでの生産決定が発表され、今年末からの出荷を目指す。第1弾としてアジア、南米、アフリカの計7か国政府に100万台ずつ買い取ってもらうのだという。順次、世界中の貧しい子供全員にという壮大な計画は動き出したばかりだが、ここに強力な助っ人が登場した。

 先週の国際家電ショーでグーグルの創業者ラリー・ペイジ氏が、この計画のプロトタイプパソコンを持って演壇に上がり、「1億台を子供たちに」と述べたのだ。彼がどの程度の援助をするかは不明だが、自身の個人資産は1億台の代金総額をはるかに超える。富の偏在は止(や)まないとしても、せめてその富がデジタル・ディバイドの進行防止に向かうことを期待したい。(ITジャーナリスト 島田範正)

http://www.yomiuri.co.jp/net/column/kougengaku/20060117nt01.htm