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2005年05月20日(金) 00時00分

リフォーム・狙われる老世帯:/中 素人業者、規制なく 早めの対応で解約を毎日新聞

 「久しぶりに実家に帰ったら、親が悪徳リフォームに引っかかっていた」。夏休みの時期になると、国民生活センターにはこんな相談が増えるという。子供が独立して家を出た高齢者は、悪徳業者の標的にされやすい。悲しい現実だ。

 「二昔前はシロアリ、少し前は床下換気、今は耐震工事」と言うのは、バリアフリー住宅研究のNPO(非営利組織)理事長、石田隆彦さん。訪問リフォーム業者が、家人の危機感をあおる常とう句だ。

 1級建築士でもある石田さんは「セールスマンが短時間家を見て、判断できるはずがない。その場で契約を迫る業者はやめた方がいい」と忠告。国民生活センター調査役補佐の河岡優子さんも「不安をあおる業者、急がせる業者、強圧的な態度の業者は絶対にやめるべきだ」と言う。その上で「決してその場で決めず、複数の業者から見積もりを取ること」を求める。

 信頼できる業者の見分け方は、一概にはいえないが、もし家の施工に不満がなく、以後の手当てもしっかりしていれば、建築時の住宅会社や大工さんに頼むのが確実だ。建て売りだと必ずしもそうはいかないが、最近は大手のハウスメーカーや設備会社もリフォーム市場に参入しており、“のれん”の重みはある。また地元で信用のある不動産会社に、補修などで利用している業者を紹介してもらう手もある。

 それにしてもなぜ、年間1万件近い相談が寄せられるほど、リフォームトラブルが相次ぐのか。背景には、法の不備や行政の問題もある。

 「実は、リフォーム業界を規制する法律はありません」

 財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの説明に、あぜんとした。建設業を営むには、建設業法によって国土交通大臣か都道府県知事の許可を得なければならない。許可には、資格者の配置などさまざまな条件があり、違反した場合の罰則もある。ところが500万円未満の「軽微な建設工事」なら、許可は不要。「素人業者」の参入が可能になっている一因だ。埼玉県富士見市の姉妹宅で最も多額の工事をした業者も、シロアリ駆除業者だった。

 国交省建設業課は「工事額の引き下げも検討しているが、中小業者の声もあり、実施に至っていない。人をだますような業者の対応は、建設業法では難しいかもしれない」と消極的だ。

 では、判断力の衰えた高齢者が不必要な契約をしてしまったら、どうすればいいのか。

 訪問販売は特定商取引法と消費者契約法、クレジット契約を結んだ場合には割賦販売法などが適用され、解約やクーリング・オフ(訪問販売の場合、契約から8日以内)を求められる。特定商取引法は「不実告知」や「威迫して困惑させる」契約を禁じており、認知症など明らかに判断不十分者なら「契約無効」も主張できる。

 高齢者や障害者の権利擁護団体「宮城福祉オンブズネット エール」代表の荒中(あらただし)弁護士は「判断力の衰えた高齢者の訪問販売被害では、家の掃除から始める」と話す。

 家を整理する能力をお年寄りがなくしているので、契約書などが散乱している。重要書類をかき集めて被害額と相手先を突き止めないと、業者との交渉に入れないからだ。その上で必要なら成年後見人制度を使い、後見人を選任するという。

 いずれにしても、契約直後など早い対応が肝要。もし実家のご両親が心配なら、近くの知人や民生委員などに「見守り」を頼み、頻繁に電話することなどで、一定の予防にはなる。ただ高齢者被害の背景には、もっと根深い問題もある。

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 ◇悪質リフォームの主な相談機関

 ◆国民生活センター

東京都品川区高輪3の13の22

03・3446・0999(平日10時〜12時、13時〜16時)

 ◆消費生活センター

都道府県と主な自治体に設置

 ◆日本訪問販売協会 訪問販売110番

東京都新宿区四谷4の1細井ビル4階

03・3357・6019(平日10時〜12時、13時〜16時)

 ◆住宅リフォーム・紛争処理支援センター

東京都千代田区紀尾井町6の26の3上智紀尾井坂ビル5階

03・3556・5147(平日10時〜12時、13時〜17時)

 ◆全国の弁護士会

全国の弁護士会に紛争解決センターが設置されている

日本弁護士連合会

東京都千代田区霞が関1の1の3

03・3580・9841(代表電話)

 ◆全国の建築士会、建築士事務所協会、建築家協会

建築士会、建築士事務所協会は全都道府県に設けられている公益法人。建築家協会は建築士の職能団体で、ない県もある

http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/katei/news/20050520ddm013100019000c.html