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2005年05月09日(月) 00時00分

雑穀料理(岩手県二戸(にのへ)市)読売新聞


右からひっつみ、かっけ、へっちょこだんご

 素朴な味を伝えたいと共同で料理店を開いた地元の主婦たちに、二戸地方に伝わる伝統的な雑穀料理を作ってもらった。

ひっつみ

 その名は小麦粉の生地をひっつまんで汁に放り込むところから来たと言われる。だしは煮干しなどでとり、具にニンジンやネギ、ゴボウ、キノコなど好みのものを入れる。阿部正子さんは自宅でも月1、2回はひっつみを作るという。小麦粉500グラムに対して水220〜230ccを加えた生地を10分ほどこね、2、3時間ほどねかせてから使う。

かっけ

 切れ端「かけら」からその名が付いたという。「どうぞ食べなさい」の意味もある。こねたそば粉を三角形に切り、豆腐、野菜とともにゆで、ネギ味噌をつけて食べる。そばは南部藩で御法度とされていたが、細く切らなければよいだろうと、三角形にしたという。生地を切っているのは安藤直美さん。生地はそば粉250グラムに対して70ccの湯でこねる。

へっちょこだんご

 へっちょはへその意味。また「へっちょはいた」は苦労したという意味で、一年の苦労をねぎらい、農作業の一番最後にふるまわれる。タカキビ粉500グラムに対して熱湯400ccを加えて練り、一つずつ丸める。その中心にくぼみ(へそ)を作っているのが小笠原みせ子さん。だんごは一度ゆでてから、あずき汁に入れてできあがり。

※分量は基本的に4人分です

厳しい風土の中から生まれた 体によく、味もいい雑穀料理

 「雑穀なんかおいしくないんじゃないかって?! いやいや、アワとかヒエって体にいいしおいしいんだよ〜」

 ここは東北新幹線二戸駅前にある「つぶっこまんま」。平成14年に地元の主婦10人が開いた雑穀料理の店だ。代表の安藤直美さんが開口一番、その魅力を語ると、言葉を継いだ。「娘がアトピーと診断され食生活を見直したんです。添加物の入った食材は使わないなどいろいろ工夫していたら地元に伝わってきた雑穀にたどりつきました」

 雑穀は白米に比べてミネラルや食物繊維が多い。白米を1とした場合、ヒエやキビ、アワの鉄分は約4倍、カルシウムは約2倍で食物繊維は約2.5倍。無農薬で栽培できるので、安全性にも優れている。

 二戸市は、総面積約240平方キロメートルのうち約7割が森林で平地が少ない上に、6月末から7月ごろ吹く“やませ”のため米の生育に適さなかった。そのためアワやヒエなどの雑穀を育て、生きる糧としてきた。こうして生まれたのがひっつみ、かっけ、へっちょこだんごなどの郷土料理だ。

 安藤さん、阿部さん、小笠原さんが分担を決め、得意料理にとりかかる。さすがに巧みな手さばき(前頁参照)。「子供のころは黒いヒエご飯がしょすがった(恥ずかしかった)のさ」「一関から二戸さ嫁に来るまで雑穀なんて知らなかった」と、口も休まない。



豆しとぎ(500円、要予約)。生ものなので日持ちせず、昔は冬限定のおやつだったという

 「ほら、おめさんもやってみで」と誘われ、ひっつみの生地作りにトライしてみたが、これがうまくいかない。さすが熟練の技、と内心舌を巻きながら撤退し、“得意”の試食へ。もちもち感が魅力のひっつみ、そばの風味と味噌が合うかっけ、ほどよい甘さのへっちょこだんご、どれも素材の味が生きており確かにうまい。

 「これもよばれでみで」と白身魚のフライのようなものが出てきた。柔らかい歯ざわりで淡白な味わい。「これ、ヒエッシュフライ。炊いたヒエと、とろろ芋を混ぜたものを板麩ではさんで揚げたの」と小笠原さん。小笠原さん考案のこの料理は、二戸市の料理コンテストで最優秀賞に輝いた。脇から安藤さんが、「ハンバーグもミンチした肉に豆腐と、ゆでて少し炒めたそばの実を入れれば弾力がでるよ」。日々工夫に工夫を重ねているのだ。

 ちなみに「雑穀料理には炊飯器を多用しています。雑穀は種類ごとにペットボトルに小分けしておくと便利」とか。白米と混ぜて炊く時は白米の量の5%くらいが適量で、モチキビやモチアワを入れるとおいしいとも教えてくれた。

 この探究心が、伝統の雑穀料理に新しい命を吹き込んだともいえる。(文/中 文子 写真/渡辺 貴由)

二戸地方と雑穀

 米のとれなかった二戸地方では古くからアワ、ヒエ、キビ、ソバ、麦などの雑穀が栽培されてきた。現在、二戸市内の販売農家1478戸のうち68戸が雑穀を作っている。市では地元でとれた雑穀を利用した五穀ラーメンや五穀餃子などの特産品を開発し、町おこしに一役かっている。



雑穀茶屋 つぶっこまんま
0195・23・9039/8時〜18時/無休/東北新幹線二戸駅東口すぐ(無料Pあり)

旅行読売2005年6月号より

http://www.yomiuri.co.jp/tabi/gourmet/fudoki/fd050601.htm