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2005年03月22日(火) 00時00分

駆け込み危機管理景気 個人情報保護法施行秒読み 360社の応募があった個人情報保護法の対策セミナー。企業の担当者が熱心に耳を傾けた=東京都文京区で 書店に並ぶ個人情報保護法関連書籍。昨年末から好調な売れ行き=東京都千代田区で 東京新聞

 個人情報保護法が全面施行される四月一日まであと十日−。各企業がセキュリティー対策を急ぐ中、企業の担当者向けに開かれる対策セミナーや関連商品の販売が活気を見せている。個人データ漏えいが企業の信用失墜リスクに直結する時代に本格突入するとあって、法施行に間に合わせようという「駆け込み需要」が強まった形。東京の街で個人情報保護法が広げる波紋をたどってみた。

 文京区内で今月九日開かれた個人情報保護法を学ぶ無料セミナーには、参加者が殺到した。

 個人情報保護のノウハウを知ろうと、定員五十社に対し、予想を大きく上回る三百六十社が出席を希望した。主催した顧客管理システム会社「シーグリーン」(横浜市)は、急きょ会場を変更して対応したが「法施行を控え、多くの企業が危機感を抱いている証拠。大変驚いた」と話す。

 セミナー人気の過熱ぶりは、企業側が保護法の対応に追われる姿を浮き彫りにしている。

 同社では、企業の顧客管理業務のサポートを通じ、取引先が新たなビジネスチャンスを獲得できるような事業を提案してきた。それだけに前提となる個人情報管理にはひときわ神経を使ってきたという。早くから個人情報流出の対策を強化し、月一回社内で開くセキュリティー委員会はすでに五十回を重ね、ノウハウを積み上げてきた。

 個人情報保護法では、個人データを守るため、事業者に対し、従業員や委託先業者の適正な監督を求めている。

 同社の営業コンサルティング部マネジャー・大橋雄一さんは「アルバイトや派遣社員も含めた全従業員と半年ごとに機密保持契約を結び直している。これも情報漏れ対策には効果がある」と語る。

 業務委託先に対しても抜き打ちの監査を実施。セキュリティー対策が万全かチェックする。

 「委託先はいい顔をしないが割り切ってやるしかない」と大橋さん。

 新たに始まる法規制の理解を助ける関連書籍の出版も盛んだ。

 千代田区神田神保町にある三省堂書店。特設コーナーが設けられ、個人情報保護法関連の書籍が平積みで並ぶ。図解中心のものや法の要点を簡潔にまとめた本など、各出版社が競うように出版。店頭に並ぶ「対策本」は二十五種類にも。売り場の責任者は「総務や人事の担当者だけではなく、企業が社員向けにまとめ買いするケースもある」と話す。

 同書店が個人情報保護法関連の書籍を扱い始めたのは昨年五月ごろ。徐々に売り場を拡充したところ、年末から本格的に売れ始め、今も好調を維持しているという。最近ではIT(情報技術)企業、金融、医療機関など業種別に注意点をまとめた対策本が多く出版されている。

 大規模な個人データ漏えいは、パソコンの盗難やデータへの不正アクセスが原因となるケースが多い。このため、企業のシステム部門を中心に管理体制を強化する傾向が強い。その一方、個人情報をめぐる関心の高まりから、手軽な対策グッズも人気を集めている。

 パソコン周辺の事務機器メーカー「サンワサプライ」(岡山市)では、個人情報保護法のスタートを見込んで、対策用商品の販売に力を入れている。ノート型パソコンの盗難防止用にワイヤと鍵を組み合わせたセキュリティーロックは三千百二十九円から。パソコン自体を収納し、他人に触れさせない鍵付きボックスや指紋認証システムのマウスなど、ホームページなどを通じて売り込みを図る。同社の東京サプライセンター販売促進部主任の三船直美さんは「法施行が近づくに従い、問い合わせや販売数も増えてきた」と話す。

 環境ビジネスを展開するオリックス環境(港区)もシュレッダーにかける前の重要文書を小口回収し、リサイクルするシステムを売り込む。

 また、万一、個人情報が漏れた場合の備えに目を付ける業者も。AIU保険(千代田区)は「個人情報漏洩(ろうえい)保険」を昨年二月から発売。これまで五百件以上の契約を企業と結び、好調だ。

 文・秦淳哉/写真・稲岡悟、中嶋大

■メモ

 <個人情報保護法> 個人情報の取り扱いに関する基本理念と、民間事業者が個人情報を取り扱う際に守るべき義務を定めた。個人情報に関して、利用目的の特定・公表、利用目的範囲内での取り扱い、適正な取得、正確性の確保、第三者提供の制限などを規定。本人から自身の情報を求められた場合、その開示・訂正・利用停止に応じなければならない場合がある。違反した場合は主務大臣の勧告・命令がなされ、命令に従わない場合には罰則もある。

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書店に並ぶ個人情報保護法関連書籍。昨年末から好調な売れ行き=東京都千代田区で

http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20050322/mng_____thatu___000.shtml