2005年01月19日(水) 03時07分

偽造団１０人逮捕状　ゴルフ場でカード抜きスキミング　警視庁と４県警（産経新聞）

被害数億、強制捜査へ
　知らないうちに金融機関の口座などから現金を引き出される事件が各地で相次ぐ中、ゴルフ場のロッカーから利用者のカードを抜き取って「スキミング」し、そのデータで偽造キャッシュカードを作って現金を引き出したとして、警視庁と神奈川、千葉、埼玉、静岡の四県警の合同捜査本部は、窃盗などの疑いで中国人を含む窃盗・偽造グループ約十人の逮捕状を取った。合同捜査本部は十九日にも強制捜査に乗り出す。家宅捜索対象は三十数カ所に上るとみられる。ゴルフ場内部の関係者も事件に関与した可能性があるとして事情を聴く方針。
　スキミングによる銀行キャッシュカード偽造の摘発は全国初。
　調べでは、グループは神奈川や群馬など特定系列のゴルフ場を中心に犯行を重ねており、被害額は警視庁が昨年春ごろから捜査を始めた後だけで数億円にのぼる。それ以前にも被害があったとみられ、実際の被害額はこれを大きく上回る可能性がある。
　被害者の中には、神奈川県内のゴルフ場を利用後の昨年二月から三月にかけ、東京都杉並区や武蔵野市のコンビニや銀行に設置された現金自動預払機（ＡＴＭ）から複数回にわたって現金約三千万円を引き出された男性もいる。
　グループは、ロッカーからカードを抜き取りスキミングする役、スキミングしたデータから偽造カードを作る役、偽造カードを使って現金を引き出す役などに役割分担しており、銀行やコンビニの防犯カメラには、被害者の口座から現金を引き出す男の姿が映し出されていた。
　昨年十二月には、東京都豊島区内のコンビニで、同グループがスキミングして作ったとみられる偽造カードを使って現金を引き出そうとした中国人の男が、巣鴨署に窃盗未遂の現行犯で逮捕されている。
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　■裕福な客層、出入り自由　狙われるゴルフ場
　比較的裕福な客層が集まるうえ、出入りが自由なゴルフ場では、クレジットカードや現金、高級クラブなどの盗難被害が後を絶たない。
　八十三のゴルフ場が集中する埼玉県では、一昨年ごろから、貴重品ロッカーからキャッシュカードなどが盗まれる事件が目立ち始めた。届け出があったものだけで平成十五年二十八件、昨年十一件。ロッカーの暗証番号を打ち込むテンキーの上に小型カメラを張り付け、番号を盗み見ていたとみられる名刺大の不審な小型カメラも、三回にわたって見つかっている。
　ロッカーの暗証番号とキャッシュカードの番号を同じにしていることが多いため、ロッカーの暗証番号を見られてしまうと、カードの暗証番号もわかってしまうケースが多いという。
　全国銀行協会によると、スキミングによるとみられるキャッシュカードの被害は、十五年八十六件、被害総額二億六千万円。平成十四年度に比べ、二十倍以上に急増。
　昨年は四−六月の三カ月間だけで既に四十七件一億五千六百万円の被害が報告されている。
　カードの被害対策に取り組んでいるＮＰＯ法人（特定非営利活動法人）「日本情報保全協会」（大阪市）は「キャッシュカードはクレジットカードに比べて現金化しやすく、盗撮などで暗証番号を入手しやすい」と増加の背景を分析している。
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　《スキミング》キャッシュカードやクレジットカードの磁気記録情報を専用の機器（スキマー）で盗み取り、それを別のカードに転写する偽造カード製造方法。スキマーは市販の機器で簡単に作れ、情報の読み取りや転写も数秒でできるという。カード盗難と違い、所有者が気付かないうちに偽造カードで預金を引き出される被害が起きる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050119-00000019-san-soci