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2004年11月04日(木) 17時46分

[’04フォーカス]日掛け金融への苦情増加 県、営業停止処分も /熊本毎日新聞

 ◇一部業者が特例金利求め暴走
 条件付きで特例の上限金利が認められている日賦貸金業者(日掛け金融)の違法業務に対する苦情・相談が増加している。法定の条件を守らず、取り立ても威圧的というもので、弁護士・司法書士からは「ヤミ金融化している」との指摘もある。ノウハウのない新規参入業者が、特例金利に飛びつき暴走している実態も見え隠れし、県は違法業者の行政処分に向けた調査に乗り出した。【石川淳一】
 「植木が趣味なら、職業は植木屋にすれば良いでしょう」。菊池郡の40代女性は7月、70代の両親と新興の日掛け業者の窓口に座った。借り主となった父は無職の年金生活者。中小・零細業者を専門に貸し付ける日掛け金融の要件に当てはまらない。担当者は条件を満たすため、ウソを付くことを提案した。女性と母親は保証人になった。
 20日ごとに追加融資のため、借用書を切り替える。その際、毎回5〜10%を保証会社への保証金として融資額から差し引かれる。返済は口座振り込みで5日に1回。1日でも滞ると業者に車で深夜まで連れ回された。借金は雪だるま式に膨れ300万円に。母は年金入金口座の通帳を取られた。「怖いのは分かっていたけど、ここまでとは……」
 日掛け金融は貸金業者の一種。(1)貸付先は従業員5人以下の小規模事業者に限る(2)返済期間は100日以上(3)うち5割以上の日数は業者が借り主を訪問する形で集金する——の3点を条件に、出資法で上限金利を本来の倍近い年54・75%まで認める。「日掛けの3要件」と言われるが、女性の場合3要件とも違法だったことになる。
 弁護士や司法書士が実施した日掛け業者からの借り手へのアンケートによると、6割を超える借り手が実態と異なる職業を契約書に記載し、約半数が1カ月以内に借用書を切り替えていた。さらに態度・言葉による威圧や深夜帯の取り立てなどの違法行為も半数に上る。
 弁護士は「日掛け業者がヤミ金融化している。法の趣旨通り貸せないのだから、社会での存在意義を失っている」と問題視する。
 熊本市の地場大手の日掛け業者も「ノウハウを持たず、暴走する業者がごく一部にいるのは確か」と率直に認める。
 「新興業者同士が連携し、違法を平然と重ねる。同じオーナーが複数の業者を束ねていることも珍しくなく、特例金利で回収できる日掛けに走っている」と指摘。増加の背景を「消費者金融から借りられなくなり、高金利を承知で貸してくれと言う客がいる。日掛けがなくなれば、困る人は山ほど出る」と話す。
 監督する立場の県も、ようやくこの状況に腰を上げつつある。9月上旬、熊本市で日掛け業者を対象にした研修会を開き、3要件順守や違法な取り立てを業者に説明した。実は、県が昨年度受けた知事登録貸金業者への苦情・相談でも、63%が日掛け業者に対するものだった。
 弁護士、司法書士らは8月、日掛け36業者の行政処分を県に申し立てた。県は事実関係の調査を進め、このうち悪質な一部業者への営業停止処分を検討している。県経営金融課は「これまではその都度の指導で済ませてきたが、行政処分は違法業者への警鐘にもなる」と狙いを話す。

11月4日朝刊 
(毎日新聞) - 11月4日17時46分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041104-00000172-mailo-l43