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2004年09月07日(火) 17時25分

薬の副作用、80年以前の被害も救済 厚労省方針朝日新聞

 医薬品の副作用をめぐり厚生労働省は、救済制度が創設された80年より前に被害を受けた患者に対して、06年度から「謝金」という形で手当を支給する方針を固めた。重い症状を訴える副作用の患者が対象で、当面2つの病気に苦しむ患者を想定し、対象者の拡大も検討する。9月下旬にも検討会を立ち上げ、具体策を詰めていく。これまで厚労省は、制度創設前にはさかのぼって適用しないという方針を貫いていたが、事実上、救済されることになった。

 医薬品の副作用に対する救済制度は、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構が医療手当や障害年金を給付している。しかし、制度創設後の患者と同じ症状でも、創設前の患者は対象外とされてきたため、国会などで度々、問題視され、坂口厚労相は「知恵をしぼりたい」と答弁するなど前向きな姿勢を見せていた。

 厚労省は、制度からもれている患者に対する救済を実現するために、現行制度を直接利用するのではなく、保健福祉事業として位置づけることを検討する。

 患者の実態調査を05年度中に実施したうえで、06年度には、発症の時期にこだわらず、患者全体の生活向上に対する調査研究を立ち上げる。その際、制度創設前の患者に対しては、研究協力への謝礼という趣旨での支給を想定している。

 当面対象としている副作用事例は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS、皮膚粘膜眼症候群)とライ症候群。対象者は、数十人にのぼると推定されているが、実態調査で増える可能性がある。

 SJSは、市販のかぜ薬など約1200種類の薬が原因で、100万人に年間1〜6人が発症するといわれている。皮膚がただれ視力を失う疾患で、死に至る場合もある。03年10月末までの2年7カ月間で、約千件が報告されている。

 また、さらにまれなライ症候群は、アスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛剤を原因とする急性脳症で、主に子どもが発症する。

 ともに、制度創設後の患者の場合、1級の障害が認められると、年間約272万円が支給されている。

 薬害エイズでは、血液製剤によるHIV感染者の調査研究事業として、発症していない患者約600人に対し、月額3万6000円もしくは5万2000円の謝金を支払っている。今回の救済措置による支給額は、これらのケースを参考に、検討会で詰めていく見通しだ。

 厚労省は今後、SJSやライ症候群のように、まれで深刻な症状の患者であれば、制度創設前の患者にも適用することも検討するという。さらに調査研究の成果をもとに、治療研究の充実など総合的な対策を進めるという。

    ◇

 〈医薬品副作用の救済制度〉 薬害スモンを教訓として、裁判よりも早く救済する目的で80年にスタート。製薬会社からの拠出金をもとに、入院治療費や障害年金、遺族年金などを支給する。副作用かどうかは厚生労働省の審議会が判定。対象は死亡者のほか、入院が必要な程度の被害や日常生活に支障が出る障害を受けた人も含まれる。薬の用法・用量を守っていることが前提で、高率で副作用が出る抗がん剤は除かれる。03年度の請求件数は793件、支給件数は465件、支給額は約12億420万円。(09/07 17:24)

http://www.asahi.com/national/update/0907/024.html