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2004年06月03日(木) 00時00分

小6女児殺害 ひとごとと思わずに 東京新聞

 なんともやりきれない事件が、また、起きた。小学校六年の女児がクラスメートの女児を殺害した背景には、一体何が潜んでいたのか。加害女児の心の軌跡を解明し、再発を防ぐのは大人の責務だ。

 事件は長崎県佐世保市の市立大久保小学校で起きた。給食の準備中に女児から呼び出された御手洗怜美さんが、普段は教材置き場になっている学習ルームで、首などをカッターナイフで切られ殺害された。

 怜美さんの手に防御傷があったことなどから、殺意があったと推察せざるを得ないが、そこは十一歳の女の子、調べに対して涙ぐみながら「すみません」と繰り返している、という。

 長崎県では昨年七月、当時十二歳の男子中学生が四歳の男児を誘拐し、駐車場の屋上から落として死なす、という事件が発生している。

 この事件を受け、文部科学省は児童・生徒の問題行動への対応を総点検するよう、全国の学校に要請。この四月には、学校と地域住民らからなるネットワークをさらに強化し、子供の情報を共有するよう指示を出したばかりだった。

 にもかかわらず、事件は繰り返された。しかも、学童にとっては最も安全であるべき校舎内で起きた。

 女児に何があったのだろうか。怜美さんと女児は、インターネットでチャット(会話)を交わすほどの仲だったが、調べの中で女児は「ホームページへの怜美さんの書き込みに腹が立った」と述べたという。

 想像の域をでないが、このやりとりが異常な行動に走らせたのではないか。経験のある人ならすぐ分かるが、メールも含めパソコンを介した意思の疎通は、相手の表情が見えないだけに表現が過激になりがちだ。

 もし、そうだとすれば、ネット世代の社会病理を映した事件だ。やりとりなどを徹底的に解明し、同種事件の再発防止に役立てたい。

 残念だったのは、女児に異変があったにもかかわらず、大人たちが見逃してしまったことだ。ある証言によれば、女児はこのところすさみ気味で、「むかつく」と言っては壁をけったりしている、と子供から聞いたというのだ。

 この十年ほど前から小学校高学年児童の心が不安定になってきた、との現場の先生の指摘もある。

 情報を地域で共有し、保護者と先生が連絡を密にして女児に特段の注意を払っていれば、事件は多分、防げただろう。悔やまれてならない。

 子供を事件や非行から守るのは結局、大人の目だ。ひとごとと思わず、子供はみんなわが子とみなし、愛情を持って接しようではないか。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040603/col_____sha_____003.shtml