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2004年03月18日(木) 14時18分

春秋日経新聞

 ことさらに「道」を説く君の本性をいぶかったのは与謝野晶子。いわゆる人の道のほか、書や茶の湯、剣や柔、そして舶来の野球にも日本では道がある。道理と道程と道徳が一体のこれらの「道」は、日本的精神文化の核ともいわれる。

▼医道審議会は道に外れた医療関係者の行政処分を審議する。その答申を受けて、坂口厚労相は18日に、4人の医師の処分を決めた。技術も経験もない未熟な医師たちが、内視鏡を使った無謀な手術で患者の命を奪ったとされる慈恵医大青戸病院の医療過誤では、2人の執刀医が医業停止2年という処分だった。

▼これが、刑事裁判で有罪が確定する前に、医道審が処分を求めた初のケース。また、週1回が適量の抗がん剤を毎日投与して患者を死に至らしめ、有罪が確定した埼玉医大の医師は、医業停止3年6カ月とした。これまでの医療過誤事件で、医師に対するいちばん重い処分なのだという。

▼医道審は強制わいせつや殺人、医療費の不正請求など、人の道に外れた医師の処分に重きを置いてきたようにみえる。患者の命に直結する医療過誤、医の道理・道徳違反については、医師免許はく奪は1例もない。医業停止期間を過ぎれば、すぐに医師に復帰できる。わざわざ医道の名を冠したこのシステムにも、いぶかしさがつきまとう。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20040318MS3M1800P18032004.html